佐々木貴「デスマッチは生き様であり覚悟です」15周年を迎えたFREEDOMSが“自由で楽しい俺たちのプロレス”を取り戻すまでの日々

「普通の人が見ればバカなことをやってるって思うでしょう」

「生きるためにやるしかなかったんですよ。そのとき、僕自身も子供が生まれたばかりだった。プロレスラーになったときから『いつまでそんな遊びをやっているんだ』みたいに散々言われてきたけど、いつだって『俺プロレスで家族を守るから』と根拠もないのに言い続けてきたんです。息子の誕生はもう一段ケツに火をつけてくれました。
結局、誰かのためというのが一番強いですよ。うちの団体は、プロレスラーには珍しく家族持ちが多い。だから食いっぱぐらせることはできないし、なぜこんな血塗れになって痛い思いをしながらやれるのかって、生きるためですよ。葛西は『生きて帰って子供の寝顔を見るまでがデスマッチ』と言ったけど、生きて、家族を養っていく。その覚悟があるからできるんです」

デスマッチとは、死が傍にあるからこそ、必ず生きて帰らなければいけない鉄の掟がある。ケガをして試合を欠場するのはアマチュア、命を落とすのは素人以下。時に剣山が頭に刺さり取れなくなったこともあれば、3階の高さからダイブもした。死地を何度も乗り越えてきたからこそ、生きることへの矜持を持つ。

「デスマッチは生き様であり覚悟です。普通の人が見ればバカなことをやってるって思うでしょう。でもそこに『これが俺の生き方だ』と胸を張れる生き様があるから、お客さんは熱狂し、時に涙を流してくれる。お客さんとも勝負です。『明日からも頑張ろう』という顔にしたい。みんな悩みを抱えて生きているなか、少しでも背中を押せる戦いができればと思っています」

小さく燻っていた火は、自分たちの「生きたい」という情熱で大きく燃え盛った。しかし、そんな炎をも一瞬で消し去るような出来事が起こる。2020年。新型コロナによって、ダムズは経験したことのない危機に見舞われてしまう――。

佐々木貴(2)につづく…

取材・文/村瀬秀信
「週刊実話」12月5・12日号より