幸せを妬み雇用先の主人の不倫を偽装! 一家を“破滅”に導いた悪魔の家政婦~ブラックリスト入り確実な家政婦たち(2)~



小柄で胸が大きく泣きぼくろあり

思い余った奥さんは興信所に夫の素行調査を頼もうとするが、それをA子が阻止している。

「『ヘタにコトを荒立てたら、取り返しがつかないことになりますから、ここはじっと耐えるべきです』などと言いくるめたみたいです。A子にしてみれば素行調査なんてされたら『浮気の事実がない』ことが判明しちゃいますから都合が悪かったんですよ」

その後は夫に対して猜疑心を持ち続ける妻と潔白な夫との間に不穏な空気が流れ始め、夫婦間に諍いが起こるようになった。

「そりゃあ、そうですよ。ご主人にしてみればしてもいない浮気を疑われるし、奥さまにしてみれば夫の言葉を信じる術がないのですから、こじれて当たり前です。A子が嫌がらせを止めたことで浮気疑惑はうやむやになったそうですけど、一度ヒビが入った信頼関係は取り戻せなかったようですね。結局夫妻は離婚することになり、奥さまはお嬢さんを連れて実家に戻ったようです。せっかく良い学校に通っていたのに転校せざるを得なかったお嬢さんが本当に可哀想でした」

ちなみに、小暮さんがこの一連の出来事を知ったのは、別のヘルパーからのタレコミだったという。

「B家の話を聞いたヘルパーがA子に事実確認をしたところ、A子が自分の仕業だと告白したんだそうです。それを聞いた時、私は怒りのあまり血圧があがって倒れましたよ。当然A子はクビですし、そんな歪んだ人間を雇っていたことで激しい自己嫌悪に襲われました」

後日、良心の呵責に耐えかねた小暮さんはB家のご主人にすべてを打ち明けたという。

「ご主人はこちらを責めることもなく『ご苦労さまでした。後はこちらで引き取りますので、もう忘れてください』とおっしゃっただけでした。BさんはまさかA子が仕掛け人だったとは思わなかったそうです。『まず、そんなことをする理由がないし、そんな手の込んだことをするほど賢そうには見えなかった』とおっしゃっていました」

30代半ばで身長155センチ前後、やせ型だけど胸が大きく右目元に泣きぼくろのあるホームヘルパーが派遣されたら、自宅には上げないほうがいいかも。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。