タイムリープか超常現象か!? 栃木県に実在した世にも奇妙な「大地震を予知する部屋」



恋人が「リビングが揺れてるんだけど…」

「これだと、僕がふざけているようにしか見えませんよね? では続きの動画を見せますね」とAさんが再生してくれたのは23時39分に撮影されたもので、家の中の様子から明らかに強い揺れが来ているのが伝わってきた。

ちなみにAさんのリアクションは先ほどの「揺れているのがまったく伝わらない」動画と同じである。

「信じてもらえないかも知れませんけど、これが唯一残っている証拠です」

Aさんはこう語るが、実は証拠と言えるものがもうひとつ存在していた。

Aさんと恋人B子さんのラインである。

「今年の3月21日のことでした。時間は9時ちょうどくらい。その日は2人とも仕事が休みだったので前日から一緒に過ごしていたのですが、僕がコンビニに朝ご飯の買い出しに出かけている時にB子から『ねえ、リビングが揺れてるんだけど…』とラインが来たんです」

Aさんが筆者に見せてくれたラインの画面には、次のようなやり取りが残されていた。

Aさん:揺れてるのはリビングだけ?

B子さん:そう。寝室とか玄関では感じない

Aさん:モノとか家具は揺れてる?

B子さん:ううん。リビングと私だけが揺れてる。ひょっとしてこれが例の予知地震?

Aさん:そうだと思う。揺れは強い?

B子さん:けっこう強い。震度4とか5くらい?

Aさん:危ないからすぐに外に出た方がいい!

B子さん:分かった

慌ててAさんが自宅に戻ると、家の外に立っていたB子さんがAさんに向かって駆け寄って来た。

その瞬間本地震がやって来たという。

調べたところ、気象庁の発表ではAさんの自宅周辺の震度は4だった。

「地震の予知はせいぜい10分前くらいですが、心の準備はできるし、必要なものを持ち出すとか、車に積み込むくらいは十分可能です。僕の話を信じてくれる人には注意喚起もできます」

南海トラフ地震の発生に怯えている人が多い今、10分前とは言わず10日前に予知がなされれば混乱はかなり避けられるはずだが、そう都合良くはいかない。

ただ、現在の科学では不可能と言われている「地震の予知」を「する」部屋は、確かに実在するようである。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。