「日本人は韓国人や米国人と比べて『一次ソース』に当たる習慣がない人が多い」ラジオキャスターが教えるニセ情報を鵜呑みにしないための作法
2024.10.22
エンタメ
――『「わかりやすさ」を疑え』とはどのような意味があるのでしょうか?
飯田「メディアの中で仕事をしていると、『ニュースは難しいものだから、わかりやすく伝えるべきだ』とよく言われます。このときに、用語をわかりやすく説明したり、簡素な表現に変えたりするのならいいのですが、一部だけを切り取ったり、感情に訴えるような刺激的な見出しを付けたりすることがあります。
こうした記事・言説を鵜呑みにしてしまうと、誤った理解をしてしまいます。一次ソースを確認する、同じ事象を他のメディアはどう伝えているのか参照するなど、額面通りに捉えずに『疑って』もらいたい。そんな願いをタイトルに込めました」
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――今年は各地で豪雨災害が発生しました。災害時のレポートでは注意すべき点があるそうですね。
飯田「我々が伝える情報が直接聞いた人の命に関わるのが災害報道です。特にラジオは乾電池一つあれば聞くことができるだけに、災害時に頼りにしていただくことが多いです。その分、正確な情報が伝わるように表現していく必要がありますし、ウソはもちろん、誇張することも許されないと私は考えます。
ラジオでは、現場の人間が取材し、原稿を書き、伝えるところまでをこなします。機動的に取材し、柔軟に内容を変えることも可能なので、決め打ちをせずにできる限り現場の様子をありのままに伝えるように心がけています」
「フェイクニュース」には一呼吸置くこと
――近年はネットを中心に「フェイクニュース」が問題視されています。見抜く方法はありますか?
飯田「読売新聞などの調査で日本人は韓国人や米国人と比べてニュースを見たときに『一次ソース』に当たる習慣がない人が多いそうです。
それだけ既存メディアへの信頼度が高いとも言えますが、ネット上の真偽不明な情報に対して見出しだけで内容を判断して感情を爆発させるのは『フェイクニュース』を出す側の思うツボ。まずは一呼吸置くだけでも十分に『フェイクニュース』対策になると思います」
――ラジオ番組『飯田浩司のOK! Cozy up!』(ニッポン放送)では、今後どのような報道をしていきたいと考えていますか?
飯田「現代は世の中で何が起こっているのか、リアルタイムで常に触れられる世の中になりました。情報過多とも言えますが、その分、手に入れた情報をどう見るかが分かれ目となります。
ファクトをベースとしながら、情報咀嚼の具体例としてコメンテーターの見方を示しつつ、『日本と世界の今がわかる』放送を目指していきます」
聞き手/程原ケン
「週刊実話」10月31日号より
飯田浩司(いいだ・こうじ)
ニッポン放送アナウンサー。1981年神奈川県出身。横浜国立大学経営学部卒業後、ニッポン放送に入社。2018年からニュース番組『飯田浩司のOK! Cozy up!』(月〜金曜・午前6時〜)のキャスター。著書に『「反権力」は正義ですか』(新潮新書)がある。
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