スイス「5歳児3人襲撃事件」逮捕された中国人の男が残した支離滅裂な“ラブレター”

中国の対応は深セン事件と雲泥の差

「でも、今の僕はたくさんの女性と付き合ってきた。巨乳はただのそれだけで本当につまらない。僕はあなたを好きでたまらないけれど、振られた感じ。あなたの顔が大きいし、色白でもないし、身体は月並みだし。だから実際そんな感じなんじゃない? ひと晩3000元(約6万3000円)」

まるで別人のような筆致で、慕う女性に対する“値付け”を行い、ラブレターの文末を締めた後、樊宇豪容疑者が11枚も連続して投稿したのは、五星紅旗を振る人々や人民解放軍パレードの画像などスクリーンショットだ。

樊宇豪容疑者のものと思われるSNS
この凶行前のSNS投稿を知った在スイス中国大使館は「今回の事件について状況を確認・把握しているところだ。スイスの関係部門が速やかに真相を究明し、法に基づいて処分を下すと信じている。今後も事件の進展を見守っていく」と談話を発表している。

「スイスは中国政府が気を遣わなければならない国のひとつ。共産党官僚はスイスの銀行で5000個もの口座を開設しており、うち2/3は中央官僚の口座だという報道もあるほどです。今年1月に自由貿易協定をアップグレードしたり、ビザを免除するなど、優遇措置をしています」(香港紙記者)

深セン日本人学校男児刺殺事件直後、中国外務省は会見で容疑者を直接批判せずに「類似の案件はどの国でも起こり得る」と説明していた。

報道官の他人事ぶりは、深セン日本人学校で通学が再開した後も相変わらずで、詳しい動機は明らかにせず、臭いものに蓋をしたままだ。

文/北上行夫

北上行夫(きたかみ・ゆきお)

ジャーナリスト。香港メディア企業ファウンダー。2001年より日系コンサルタント会社やローファーム向けに中国本土を含むASEAN販路開拓業務に従事。香港人/日本人/大陸人/華僑の不条理に挟まれ20年余、2018年より日本支社プロジェクトマネージャー。2023年より中華圏マーケット調査&ライターが集う「路邊社」に参画。テーマはメディアが担う経済安全保障。

X(旧Twitter):@KitakamiYukio