芸者の指を握って「これでどうだ」“3本指スキャンダル”で辞職した宇野宗佑は派閥トップでない初の自民党総裁だった
派閥トップでない初の総裁
また、宇野は前任の首相である竹下登がリクルート事件により失脚したとき、「事件に関与していなかったクリーンな人物」という前提で選ばれた経緯もあった。
首相就任までの知名度は低く、清廉潔白だから要職にふさわしいという世間の認識があった中で買春行為をしていたのだから、これを許せないという声は決して少なくなかった。
3本指で辞任した印象があまりにも強かったため、今となっては政治家としての評価はほぼ聞かれない宇野だが、その一方で、首相就任時の所信表明を久米宏がベタ褒めしたほど演説の達人であった。
俳人として自作の句集を発表し、外相時代には海外からのゲストに向けてハーモニカの演奏を披露するなど、多芸の粋人という側面もあった。それでいて各国の要人から、「はっきりと物を言う初めての日本人」と評価される芯の強さも持ち合わせていた。
マスコミのオモチャにされて退陣となった際も、その心境を「明鏡止水(澄み切って邪念のない気持ち)」と話したのは、宇野の胆力の表れだった。
また、派閥政治が当たり前になっていた自民党において、初めての「派閥トップでない総裁」でもあった。これは軋轢を避けるため、党としての判断によるものであったが、それでも周囲の議員たちが宇野の力量を認めていなければ決して実現しなかったはずだ。
もしも3本指のスキャンダルさえなければ宇野はバブル崩壊に向かう当時の日本を支え、しっかりと舵取りをしていたかもしれない。
文/脇本深八
「週刊実話」10月17日号より
宇野宗佑(うの・そうすけ)
1922(大正11)年8月27日生まれ〜1998(平成10)年5月19日没。滋賀県出身。外交官を目指していたが、戦時中に学徒出陣。戦後2年間をシベリア抑留の被害に遭って過ごした。1951年の滋賀県議会議員選挙で初当選。1960年の衆議院議員選挙で初当選し、閣僚などを歴任した後、竹下登の後任として1989年6月に内閣総理大臣(自民党総裁)となった。
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