芸者の指を握って「これでどうだ」“3本指スキャンダル”で辞職した宇野宗佑は派閥トップでない初の自民党総裁だった

野暮ったい風貌で「そばに来なさい」

その内容は、当時40歳の女性が東京・神楽坂で芸者をしていた1985年ごろに、宇野と金銭を介した愛人関係を結んでいたことを暴露したものだった。

政治家が芸者の「旦那」になって特別な関係を結ぶことは、この当時としては決して珍しい話ではなかった。

表紙に「元芸者」ではなく「OL」と打ったのも、そうした考えがあってのことだろう。それなのに、この件がことさら世間の耳目を引くことになったのは、暴露された内容があまりにも生々しかったからだ。

その記事によると、宇野は「そばに来なさい」と女性を呼び寄せ、彼女がヒザの上に置いた手の人さし指から薬指までをギュッと握って、「これでどうだ」と言い寄ったのだという。

宇野は具体的な金額を言わなかったそうだが、3本指は手当の額を「月30万」と示したものだった。

当初、日本の主要メディアはこの件を無視していたが、米紙ワシントン・ポストが報じると風向きが変わり、「3本指」という印象的なフレーズは、たちまち流行語となった。 当時はちょうどバブル景気の時期でもあり、月30万円はサラリーマンでも役職付きなら手が届きそうな額であった。

そんなお手頃な対価は、宇野のどこか野暮ったい風貌に妙にマッチして、ワイドショーなどは一般的な芸者遊びの相場を示しながら、「宇野がいかにケチ臭いか」とあげつらったりもした。

とはいえ、糟糠の妻がいる宇野にとっては不倫行為に違いなく、それを世の女性たちが許すはずがない。同年暮れの『新語・流行語大賞』において「セクシャル・ハラスメント」が新語部門の金賞に選ばれたように、時代が平成に変わって、男女の関係性も変化しつつあるタイミングでもあった。