高齢者婚活ブームで脚光を浴びる“婚前契約書”の赤裸々すぎる中身「相手が風俗業の場合のみ浮気は許可」~シルバー婚活事情(2)~

不貞、財産分与、施設入所と内容は千差万別

田中光一さん(仮名・75歳の場合)。

「妻(64歳)とは3年前に再婚しました。婚前契約書を作ろうと言い出したのは妻です。年齢が離れてることもありまして、妻は自分が『ただ働きの家政婦を求められているのではないか?』という不安があったようです。もちろん私にそんなつもりはなかったので、契約内容についてはほぼほぼ妻の要求通りにしました」

ちなみに、田中さんは「昔の人間」で、家事などは一切できなかったとか。その代わり経済的な負担を全面的に背負うことにしたという。

「あと『どちらかが介護が必要な状態になった場合は施設に入る(入れる)』ということも決めました。今は二人とも相手を自宅で介護したり看取ったりしたいという気持ちでいますが、その時の状況にもよりますし、お互いの子供たちにヘンに口出しされたくないので明確にしたんです」

その他にも「どちらがか先に亡くなった場合、残された方が再々婚する場合は三回忌が明けてから」と独特のルールを決めたカップルや、「不貞を働いた場合は慰謝料をもらわない代わりに財産分与も行わない」「相手が風俗業の場合のみ浮気は許可する」など、お互いの貞操について言及するケースもあるという。

また、「最低でも週に1回、1時間以上は夫婦生活の時間を持つ」「肉体的な交わりが不可能になった場合でも道具などを用いて、相手の性的欲求を満たす努力をする」など、性に強いこだわりを持つカップルなど、ひとくちに「婚前契約書」と言っても、その内容はまさに千差万別なのである。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。