森永卓郎「高市氏が決選投票に進めなかったら日本経済が終わってしまう」デフレ下の引き締め政策に警告

森永卓郎 (C)週刊実話Web
インフレが続いて、暮らしが厳しい。それが庶民の生活実感だし、メディアもそう報じている。

ところが、実際の統計データを見ると、様相はずいぶん異なっている。

昨年7月「コアコア」と呼ばれる生鮮品とエネルギーを除く消費者物価の上昇率は4.3%だった。それが今年7月は1.9%となった。日銀が掲げる物価目標の2%を下回っただけでなく、たった1年で物価上昇率が半分以下になったことになる。

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季節的な変動の大きい生鮮食品や海外要因を除いた国内需給に基づく物価は、明らかにデフレに片足を踏み入れているのだ。

しかも、今後デフレは加速化していく可能性が高い。一つの理由は、円高の進行だ。7月には160円台をつけていた為替レートは、9月には130円台に突入した。2カ月で20円も円高が進んだのだ。

円高は、輸入品の価格低下を通じて物価を下げるだけでなく、輸出産業を直撃するから、二重の意味でデフレを加速する。

もう一つのデフレ要因は、消費者が物価高についていけなくなっていることだ。これまで政府は「賃金と物価の好循環」を掲げ、商品価格を引き上げる企業を擁護してきた。

だが、現実には価格引き上げによる収益拡大の9割は、企業利益の拡大に振り向けられ、賃金はほとんど上がらなかった。その結果、消費者は高価格品を買えなくなる。