「先進国で最も財政が健全なのは日本」森永卓郎が警告する“真実とは真逆の論説”と自民党新総裁に期待すること

森永卓郎 (C)週刊実話Web
8月25日の日本テレビ系『真相報道バンキシャ!』にコメンテーターとして出演した社会学者の古市憲寿氏が、司会の桝太一氏から「次の自民党総裁に求められる資質」を聞かれて、次のように答えた。

「国民に嫌がられることをできるかだと思います。例えば、減税というのは誰でもできる。ただ、日本の一番の問題は社会保障制度だと思う。団塊の世代が後期高齢者になり、2040年には団塊ジュニアも高齢者になる。そのなかで医療や年金などの社会保障費が莫大に膨らんでいく。
いまの社会保障の仕組みは、若者が多かった1960年代、70年代に作られたものなので、もつわけがない。これまでの政権は全部、逃げてきた。そこに手を突っ込めるくらい圧倒的な人気を得て、国民の理解を得ながら社会保障改革を進めていけるトップになってくれたらいいなと思います」

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一見、それっぽいのだが、古市氏の発言には重大な事実誤認、あるいは歪曲が存在する。別に個人攻撃がしたいわけではない。メディアに登場する若手論客には、古市氏と同じ立場も多いからだ。

日本の財政は、世界有数の莫大な借金を抱えており、これ以上、財政赤字を増やすわけにはいかないから、社会保障改革が必要だという立場だ。社会保障改革というのは、給付のカットと負担増を意味する。

まず、財政状況に関していうと、岸田政権はとてつもない財政緊縮を進めてきた。第二次安倍政権末期の2020年度、国の一般会計決算の基礎的財政収支は80兆円の赤字だった。

財務省はいまだにその事実を隠蔽し、この数字は財務省のホームページのどこにも出てこない。経済財政諮問会議の配布資料に記載されているだけだ。年間80兆円も赤字を出して、経済に何の問題も起きなかったことを国民に隠すためだ。