「先進国で最も財政が健全なのは日本」森永卓郎が警告する“真実とは真逆の論説”と自民党新総裁に期待すること

財務省が赤字額を隠ぺい

しかし、岸田政権が進めた財政緊縮によって、2025年度の赤字は4兆円にまで縮小する見通しだ。しかも来年度予算は、税収を過少推計しているので、実質的に日本の財政はすでに黒字化されている。先進国で最も財政が健全なのは、日本なのだ。

岸田政権は、社会保障改革も冷酷非情に進めてきた。例えば、政府は来年度予算案の概算要求基準で社会保障費の自然増を4100億円と決めた。

自然体で計算すると、高齢化に伴う社会保障費は年間1兆円ずつ増えていく。それを4100億円に圧縮しろというのは、残りの5900億円分を社会保障給付のカットか負担増で達成しろという話だ。

社会保障費のキャップ制と呼ばれる仕掛けだが、これを政府は毎年続けてきた。つまり、これまでの自民党政権は国民に不人気の政策をこっそりと、しかし、とてつもない規模で実施してきたのだ。

古市氏は「減税は誰でもできる」と言うが、現実は社会保障改革は誰にでもできるが、減税は誰もできなかったということだ。

私が次期総裁に期待するのは社会保障の拡充と減税だ。ただ、そういうことを言うコメンテーターをメディアは登用しない。だから、真実とは真逆の論説が世の中に広がってしまうのだ。