SNSに流れてきた動画で男性恐怖症に…彼氏と別れて内定も辞退した女子大学院生の崩壊劇~生活や人生を脅かすネット恐怖症(4)~

男性=DV予備軍!?

正義感の一種のようでもあり、自分に対する警告の意味もあるのかもしれないが、舞香さんはDV動画から目が離せなくなってしまう。

「どんな経緯があったとしても、腕力で勝てない女性に対して男性が暴力を振るうのは言語道断です。まして、それが恋人同士や夫婦だったりしたら、精神的な傷は計り知れないと思いませんか? もし私が彼氏に殴られたりしたら、絶対ショックで立ち直れないと思うんです。どんなに優しそうに見える人でも男性である以上、いつ女性に暴力を振るうか分からない…そんな風に考えるようになってから、男性と付き合えなくなりました」

大学入学直後から付き合い始め、将来の約束までしていた彼氏に対しても「いつDV男に豹変するか分からない」という疑念を抱くようになった舞香さんは、2年前一方的に彼氏に別れを告げ、内定していた就職も辞退して大学院に進んだ。

「社会に出たら、不特定多数の男性と接触する機会が増えますよね? それって私にとってはDV被害に遭うリスクが高まるということなんです」

男性というだけでDV予備軍のように扱われることを「心外」に感じる男性も多いだろう。だが、DV動画がトラウマとなっている舞香さんは男性そのものを受け入れることができない。

「DVまでいかなくても、ネット上には夫の身勝手な振る舞いに絶望している妻たちや女性を所有物のように扱ったり、懐柔しようとする男性がイヤというほど存在しています。男性の暴力の前には女性の人権なんて無いも同然なんですよ」

この先、結婚はもちろん、恋愛もする気はないという舞香さん。ネットの弊害はいとも簡単に人の人生を狂わせる。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。