“令和の米騒動”スーパーから米が消えた原因は? 政府による「コメを作らない方が儲かる仕組み」で打撃を受ける小売店

玄米以外は消え去った関東近郊のスーパー (C)週刊実話Web
8月に入ってから、全国各地のスーパーが米不足に陥っている。SNSでは空になった店頭の商品棚が多くアップされており、“令和の米騒動”がトレンドワードになっている。

もはや国民はパニック状態だが、一体何が原因なのか。「このコメ不足には昨年の猛暑が影響しています」と語るのは、あきたこまち・ササニシキといったおなじみの品種から、広島・島根・山梨など、珍しい産地のコメまで取り扱う都内の精米店だ。

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「暑さで米の中身がスカスカで、精米したときに獲れる量が減っちゃうんですよ。そこにコロナ明けで活気を取り戻した飲食店とか、円安で外国人がたくさん入って来て日本食を食べたりして、供給が少ないのに需要は多いというバッドタイミングです」(都内精米店) 

農水省は、新米が流通する9月~10月にかけてコメ不足は解消する見通しだとしており、同店との認識に差異はない。 

しかし、価格に関しては、これまで通りとはいきそうにないという。 

「新米が入ってくるので在庫は増えると思うんですが、今までより値段は確実に高くなりますね。というのも、不作で困ったお米農家を救うため、国が農家に払う概算金というのが8000円ほど上がっちゃったんですよ。当然、買い取り価格が上がれば、市場に流通する小売価格も上がるし、お客さんにとっては物価高の中で厳しいですよね」(同) 

それでも、専門店である同精米店は、独自の契約ルートによって多くの在庫を確保できている。一方、「次回入荷すら未定」だと困り果てるのが一般のスーパーだ。

「今、うちの棚は全部空っぽ。比較的、日本のコメに近いアメリカ産のカルローズも全部売れちゃって、あるのは玄米ともち米、それにタイ米だけです」(関東近郊のスーパー) 

このスーパーでは、代わりに大量に仕入れたパックご飯も、ほとんど売れてしまったという。

「こないだの地震で南海トラフが来るんじゃないかって買い溜めしたり、この騒動で慌てて買いに走ったり、もうみんなパニックですよ。次の入荷も未定で、来週か来月かいつ入ってくるかも見通せません。取引してる仕入れ業者はいくつかあるんですが、発注しても半分も仕入れられない状態です。もう、こういう問い合わせだけでも毎日20件は来て大変で大変で…。今は空いた米の棚にカップ麺とか乾麺とか、保存の利く主食を陳列しています」(同)

今回のコメ不足について、農水省は昨年の猛暑による不作や飲食店の再開、インバウンド需要の増加を理由に挙げている。 

しかし、省の関係者は、こういった各所で聞こえる説明を“大本営発表”だといぶかしむ。