雪印乳業“お飾り社長”の失言「私は寝てないんだ」日本最大級の食中毒事件で“スノーブランド”の信頼が失墜

「信用は金銭で買うことはできない」から一転…

当時の社長は「全社員に告ぐ」と題した文章を配布して、「信用を獲得するには長い年月を要し、これを失墜するのは一瞬」「信用は金銭で買うことはできない」などと、安全な製品を消費者に提供することが雪印乳業の社会的責任であることを訴えたという。 

しかし、事業規模が拡大し、雪印グループ全体が膨れ上がったせいなのか、いつしか安全教育がすべての社員にまで徹底されなくなり、45年後にほぼ同じ原因の食中毒事件を起こしてしまった。

 雪印乳業の印象悪化を決定づけたのが、7月4日に行われた記者会見後の石川哲郎社長による発言だった。

同社では食中毒を公表して以来、数度にわたって記者会見を開いていたが、その都度、食中毒の原因や被害状況などについての説明が二転三転したことで、マスコミからの不満が高まっていた。 

そんな中で行われた会見は、またもや要領を得ないものとなり、開始から1時間ほど経過したところで打ち切られると、集まった記者たちはさらなる質疑を求めて石川社長をエレベーターまで追いかけた。

これに対して社長が「では、あと10分だけ」と返答し、記者が「なんで時間を区切るのか」と問い詰めたところで、問題のセリフが飛び出した。

「だってねえ、私は寝てないんだ」 

石川社長が不服そうな表情で報道陣を指さしながら言い放つと、息巻いた一部の記者から「こっちだって寝てないですよ!」「寝てないとかそういう問題じゃないでしょう!」と猛反発を招いた。