「今の日本は娯楽にお金をかけること自体が贅沢に…」蝶野正洋が“節約思考”高まる日本経済に喝!

飲み会、外食が激減

一方で俺の知り合いの30〜40代の社長さんたちは、今でも銀座のクラブでよく飲んでいる。

ただ、それでも飲み方が昔と大きく変わっているんだよ。週1ぐらいで何十万円も使って飲むには飲むが、24時までにはお開き。もう1軒行こうとか、朝まで飲むような流れにはならない。しかも、その社長たちは飲んでバカ騒ぎをしたいというよりも、税金対策として飲んでいるだけで、そこまで楽しそうでもないんだよな。

送別会や仕事の打ち上げなんかでも、2次会や3次会がなくなっていると聞く。お店をハシゴするという習慣自体がなくなってきたんだろうね。

飲みに行くだけでなく、外食する頻度も減っている。ファミレスでも1人1000円以内で済ませられるような店が減っているし、それも致し方ないのかもしれない。

店側からすれば、材料費だけでなく人件費、光熱費、家賃なども高騰しているから値上げせざるを得ない状況なんだけど、消費者側は懐事情が厳しい。物価高だけど給料が上がらないという状況に、日本の全国民が苦しめられているんだよ。

今の日本は、娯楽にお金をかけること自体が贅沢なのかもしれない。俺なんかは車を買い替えようとずっと思っていて、1日1回、中古車サイトを眺めている。ああでもない、こうでもないと悩み続けて1年ぐらい経つんだけど、実はいろいろ見て迷っているこの時間が一番楽しい。これも一種の娯楽なんだよ。

とはいえ、俺ら中高年世代にとって、誰かと楽しく喋る行為は何よりのストレス発散になると思う。病院には通わないといけないオジサン世代のためにも、病院の待合室にカラオケを置いたりして、スナック化させてもいいんじゃないか。それが高齢化社会に対応した、新しい病院の在り方かもしれないよ。 

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。