森永卓郎が都知事選を分析「都政を変えたい人と変えたくない人との闘いだった」総選挙間近で揺れる立憲民主と共産党

森永卓郎 (C)週刊実話Web
総選挙が次第に近づくなか、立憲民主党が共産党と共闘するか否かで、深刻な路線対立に揺れている。

きっかけは、支持母体である連合の芳野友子会長が、共産党との関係断絶を求めているからだ。

いくら自民党に強烈な逆風が吹いているとはいえ、立憲民主が政権を取ろうと思ったら、共産党との選挙協力は不可欠だ。

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しかし、連合の芳野会長は、「都知事選で共産党が出過ぎたことで逃げた票があったのでは」と発言し、共産党排除に動いている。

芳野会長が期待するのは、立憲民主と国民民主の連携強化だ。

国民民主の玉木雄一郎代表も、「立憲共産党路線は終わった」と共産党排除を明言している。

先の都知事選では、立憲民主党が蓮舫氏を全面支持する一方で、連合は共産党の支持を受けている蓮舫氏を避け、小池都知事を支持した。

連合は労働組合の上部団体なのだから、普通に考えたら自民党が支持する小池都知事ではなく、立憲民主が支持する蓮舫氏を選ぶのが自然だ。

にもかかわらず、なぜ連合は小池都知事を支持したのか。

もちろん、共産党が日米安全保障体制を否定しているという安全保障上の問題はある。

しかし、それ以上に大きいのは、連合が「保守」に変わったということではないだろうか。

都知事選は、都政を変えたい人と変えたくない人との闘いだった。

そのなかで、連合は「変えたくない人」だったのではないだろうか。

連合は、さまざまな業界の労働組合の上部組織だが、そのなかで圧倒的な力を持つのは、全日本自治団体労働組合、日本教職員組合、国公関連労働組合連合会という官公労組織だ。

その構成員である公務員・準公務員が、いつの間にか「勝ち組」になってしまったというのが、日本の現状なのだ。