“昭和レトロ”ブームの火付け役、阪田マリンが語る魅力「昭和の不便さって未来が明るかったなって思いませんか?」

阪田マリン (C)週刊実話Web
昭和レトロが各世代を巻き込んだブームになっている。その火付け役の一端と自負しているのが、Z世代の阪田マリンだ。

きっかけは中学2年のときに聴いたレコードプレーヤーによる昭和歌謡。以来、ファッションから芸術まで、“昭和”なモノを漁る日々。熱い想いが高じて、ついには昭和レトロ風な写真集まで出版してしまった。

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この子はもしかして、昭和からタイムトリップしてきたのかも!?

――初写真集のタイトルが面白い。『今って昭和99年ですよね?』(KADOKAWA)はどうやって思いついた?

阪田「実は私、現代があまり好きじゃないんです。仕事で必要だからスマホとか電子機器は持つけど、投げ出したいときがあるんですよね。知りたくない情報やニュースが勝手に入ってくるし、自分よりも優れた何かを持っている人がXで流れてくるとか…。それって、いつまで経っても自分のことを好きになってあげられない原因じゃないかと思うんです。
今みたいにスマホもLINEもなかった時代は、好きな人の家に電話して親が出てきたらどうしよう…みたいなことがあったじゃないですか。そう考えると、昭和の不便さって未来が明るかったなって思いませんか? それに私、昔から『今が昭和だったら何年だろう?』と考える習慣がついていたので、自然にこのタイトルが浮かびました」

――写真集を出すことになったのは、自分からの売り込みですか?

阪田「いえ、普段からSNSで昭和アイドルやヤンキーの真似をした写真を上げていて、それを見ていただいた編集の方からお声がけいただきました」

――話が来たときは?

阪田「嬉しすぎて、本当にラッキーだなと思いました。私、運が良すぎる人生なんです。高校3年間はガソリンスタンドでアルバイトをしていたのですが、仕事の合間に聞いていたラジオの影響でDJを目指して大学はラジオ放送学科に入りました。
そこでローカルラジオ局の枠を手に入れることができ、その番組を聴いてくださった関西の民放ラジオ局の方からレギュラーをいただく…というトントン拍子だったんです。落とし物をしても結構すぐに出てくるし(笑)」

――何がきっかけで昭和にハマったんでしょう?

阪田「中学2年のときに祖母の家でレコードを聴いたんです。『針を落としたら音が出るからやってみて』って。その瞬間、細胞レベルで『私は昭和が好き!』となりました。そのときの曲はチェッカーズさんの『Song for U.S.A.』。以来、右も左も分からない状態からレコード漁りが始まり、主にアルバムをジャケット買いしていました。
基本的にはカラフルなのが好きで、小泉今日子さんの『真っ赤な女の子』はキョンキョンが真っ赤な服を着て、アルバムも真っ赤なんです。レコード盤も真っ赤で、とても印象的でした。お小遣いで買える範囲なので状態が良くないものも多く、数回聴くと針が飛んじゃったりするんですけど、今も80枚くらいはコレクションがあります」

――そういう趣味は友だちにも話していた?

阪田「いいえ。やっぱり集団から浮きたくないので、こっそりと。でも、ガソリンスタンドでのアルバイトを始めたきっかけでもある『ホットロード』(別冊マーガレット・紡木たく作)という漫画では、ヤンキーと言われる人たちがあれだけ突っ張って自分の人生を貫いているのに、私は自分を出せないままで終わっていいのかなと思い、SNSでの発信を始めたんです」

――興味の対象は昭和歌謡だけではない?

阪田「例えば昭和の映画なら、必ず2回は見ます。最初はストーリー無視で、当時のインテリアとか冷蔵庫や炊飯器などの家電、着ている服のデザインや色に注目します。ファッションや建築など、興味が尽きないです」