「このGM発言の背後で進行しているのが、日本球界への〝逆輸出計画〟です。田中をリリースした場合、ヤンキースが最も恐れるのは、他球団のユニホームを着た田中がチームの前に立ちはだかること。その点、日本ならその心配はいりません。この計画の仕掛け人とされるのが、ヤンキースでGM特別アドバイザーを務める松井秀喜氏。巨人は今オフ、エースの菅野がPSでのメジャー移籍が確実で、ヤンキースも獲得に乗り出しています。そこで、米国のFA制度と日米のPSを連動させ、事実上の〝日米トレード〟を実現させようとしているのです」(同)
菅野に対しては、かなりの数のメジャー球団が獲得に乗り出すといわれているが、断然、有利なのはヤンキース。なぜなら、次期巨人監督候補の松井氏が交渉に仲介できるからである。
ヤンキースが田中の引き止めに及び腰なのは、菅野の獲得に20億円の移籍金が必要なことと、それに加えて3年50億円程度の年俸もいるからだ。
一方、菅野をメジャーに送り出す巨人は、20億円の移籍金はありがたいが、菅野に匹敵する戦力が欲しい。
「田中の年俸が16~17億円程度なら、巨人も対処でき、両球団の思惑は合致します。阿部慎之助氏が次期一軍監督濃厚となる中で、この縁組が成功すれば、松井氏は流れを逆転できます。すべてが〝ウイン・ウイン〟というわけです」(同)
透けて見える巨人とヤ軍の“あうんの呼吸”
今季の菅野の年俸は、日本人選手最高の6億5000万円。史上初の開幕戦から13連勝を達成したこともあり、残留すれば10億円程度の攻防となってくる。この金額にメジャー球団から入る菅野の移籍金20億円を3年で割った6億6000万円を加算すれば、予想される田中の来季以降の年俸額とほぼ同じ額になる。そこに巨人とヤ軍〝あうんの呼吸〟が透けて見える。
もちろん、田中に対し、メジャーの他球団がこれまで以上の好条件を提示すれば、そのままアメリカでのプレー続行が有力だ。しかし、アメリカは日本以上にコロナが蔓延している。夫人や子供たちの安全な暮らしと教育環境を考えた田中が、日本復帰に傾斜しているという情報もある。
「何より心強いのが、幼なじみの坂本勇人が巨人の柱として活躍していること。2人は小学生時代のチームメイト(兵庫県伊丹市、毘陽里タイガース)。中・高は別のチームに進んだが、交友は変わらない。(里田)まい夫人にとっても、将来、芸能活動が可能な東京は渡りに船」(巨人担当記者)
昨オフの山口俊に続き、今オフは菅野のメジャー移籍を容認するといわれる巨人。「マー君獲得」という強烈な返し技で難局を乗り切る腹づもりだ。
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