香川照之vs市川猿之助　一家心中事件から1年…澤瀉屋の複雑な「血縁関係」を巡って泥仕合

猿之助と香川は従兄弟の関係で、猿之助の父親は四代目市川段四郎、香川の父親は段四郎の兄である二代目市川猿翁になる。

そして、この猿翁の経歴が藤間氏と香川の因縁となっている。猿翁には2度の結婚歴があり、最初の妻は元宝塚歌劇団雪組トップの娘役だった浜木綿子。彼女との間に生まれた一人息子が香川だ。

ところが、この夫婦はわずか1年余でスピード離婚してしまう。

原因は猿翁のW不倫で、相手は藤間流の家元で女優の藤間紫。猿翁と藤間紫は共に家庭を捨て、駆け落ち同然に同棲生活を始めるのだが、藤間紫と前夫の間に生まれていた長男が、藤間文彦氏なのである。

「あなたは息子ではありません」

東京大学を卒業して俳優になり、思い切って父の元を訪ねたが、「今の僕とあなたとは何の関わりもない。あなたは息子ではありません。したがって僕はあなたの父でもない」「あなたとは今後、二度と会うことはありません」と冷たく突き放されたのは有名な話だ。

その後、父の後妻である藤間紫の取りなしで親子関係は修復され、2011年に香川が九代目市川中車を襲名して歌舞伎俳優としての活動をはじめ、息子の市川團子も歌舞伎役者にしている。

とはいえ、長らく歌舞伎界から離れていた香川は澤瀉屋の一門衆扱いであり、すでに澤瀉屋の看板役者となっていた猿之助が宗家の中心であることは揺るがないはずだった…。

しかし、猿之助の一家心中事件により澤瀉屋の権力構造は一変する。