クロダイ 日本全国釣り行脚 (C)週刊実話 
クロダイ 日本全国釣り行脚 (C)週刊実話 

【クロダイ】石川県七尾市/スギヨ脇水路産「また元気な能登でのんびりと釣りを楽しめる日を静かに待ちたいと思います」~日本全国☆釣り行脚

やはりいたか…振り返れば時薬

なんとなく諦めきれず、最後に一通り探るべく護岸際に入れておいた胴付仕掛けで、護岸際を探ることにしましょう。

探り歩くうちに上流側の小さな橋にさしかかったあたりで、底質が泥からガレ場になりました。来るならここだな…と感じた瞬間にコツンとアタリ。糸を送り込み、グンッと力強いアタリで合わせるとハリ掛かりです。


先ほどのマルタほどではありませんが、鋭い手応えに「小振りなマルタか?」と思いながらも、念のため慎重なやりとりで浮いた魚体は体高がある銀鱗。クロダイです。やはりいたか…。35センチほどと、そこまで大きくはありませんが、個人的にはシビれる1尾です。


クロダイ 日本全国釣り行脚 (C)週刊実話 

このクロダイ、試しに刺身でいただいたところ脂乗りはよく、ほのかに感じるドブ臭もワンカップで流し込み完食させていただきました。


日本全国釣り行脚 (C)週刊実話 

帰りは〝花嫁のれん号〟で金沢へ。指定席が取れたはいいものの、3人並びの座席で隣はカップル。申し訳ないので金沢までデッキで立ち通した思い出も。


日本全国釣り行脚 (C)週刊実話 

さて、今回このドブを見たとき、最初に感じたのは「女川(宮城)の夢工房に似ているな…」ということでした。


東日本大震災以前、三陸の女川港奥には水産工場に囲まれたドブ水路があり、海への出口に立つ〝パチンコ夢工房〟の横では、ずいぶんと面白い釣りをさせてもらいました。震災後、復興した街はすべてが新しくなり、水路も綺麗になりました。そして魚はとても少なくなりました。


三陸にはなくなってしまった昔ながらの水産工場やドブ水路があって能登はいいなぁと感じた昨年末。そして年が明けて能登半島地震…。甚大な被害には胸が痛むばかりです。簡単に〝頑張って〟などとは言えませんが、東日本大震災では大切な身内を2人亡くしたワタクシとしては、今、振り返ってみると時薬というものに助けられたような気がします。


時を経て、また元気な能登でのんびりと釣りを楽しめる日を、静かに待ちたいと思います。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子どもの頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。