ソウル開幕戦が発表されたのは、昨年7月。この時点で大谷のド軍移籍は流動的だったこともあり、25年のMLB開幕戦に照準を合わせたのだ。
MLBのマンフレッドコミッショナーも同じ考え。昨年9月にNPBの榊原定征コミッショナーが訪米した際に「25年の海外開幕戦は、ぜひ日本でやりたい」と協力を要請し、基本合意がなされた。
ただ難題が一つ。開幕戦カードだ。
NPBは来季〝二刀流〟復帰の大谷と山本が所属するド軍を望むが、MLB選手会が「2年連続の海外開幕戦は選手の負担が大きい」と反発。以来、日米双方の野球機構と選手会の協議が続いていた。
沖縄でのオープン戦が意味するもの
MLBは海外ファン拡大のため、毎年ワールドツアーを実施している。24年は3カード。ソウル開幕戦と4月のメキシコシティ(アストロズ対ロッキーズ)、6月のロンドン(メッツ対フィリーズ)。原則輪番制で、ド軍の2年連続は困難な状況だった。
しかし、MLB日本開幕戦のワールドツアーに沖縄を盛り込んだことで、選手会が賛同に転じたという。
「なぜなら米軍基地があるからです。コミッショナーや選手会首脳が慰問に訪れ、感謝と敬意を示せば、日米同盟の絆が深まる。ドジャースのロバーツ監督の父親は元海兵隊員で、沖縄基地勤務時代に日本人の母親と知り合い、結婚して自身が生まれた。MLBプレーヤーの親族には沖縄基地の駐留経験者が多く、現在も約5万人の軍人と家族が沖縄県内に住んでいる。これが持つ意味は大きい」(前出・スポーツ紙記者)
〝窮余の一策〟ではあるが、大谷に吹き荒れる「春の嵐」を鎮めるには、ド軍の日本縦断ワールドツアー計画以上の即効薬はない。
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