〝女優は全部見せて当たり前〟という、夢のような時代だった1980年代。
そのころも今も変わらないのが、一流と超一流の差は〝魅せるか魅せないか〟という暗黙の定義だ。
今年で65歳になる名取裕子は、紛れもなく〝超一流〟女優の1人。80年代に多く魅せた艶演技は大いに話題を呼んだ。87年の『吉原炎上』もいいが、ここでは84年の『序の舞』を紹介しておこう。
「81年の映画『白日夢』で、愛染恭子と〝ガチ〟を行ったことで知られる俳優・佐藤慶を相手役に、ヴァージン喪失シーンを演じていたのです。絵の師匠である佐藤は、手慣れた手つきで名取に愛の施し。恥ずかしさのあまり隠す手を、優しくもやや強引にどかします。あらわになった名取のすべてが、佐藤に見つめられただけで硬さを増してしまう様が手に取るように分かり、ビクンビクンと震わせる。不安と戸惑いと期待…そんな複雑な感情が混ざり合った、何とも艶かしい表情を浮かべながら、佐藤の愛を受け入れ、一筋の涙を流しながらも歓喜の喘ぎ声を上げてしまうのです。その表情こそ〝超一流〟の証しでしょう」(芸能ライター)
NGなしの大立ち回り!
90年代にアート写真集ブームを巻き起こした樋口可南子も、その妖しい魅力で80年代のスクリーンを桃色に染めてきた1人。彼女も今年、64歳になる。
「フル露出の過激濡れ場シーンを演じた作品は、80年『戒厳令の夜』、83年『もどり川』、84年『湾岸道路』、87年『ベッドタイムアイズ』など、多くの作品で魅せてくれました」(同・ライター)
中でも謎に包まれた魔性の女・お直を演じた、81年の『北斎漫画』での演技は、ソフトバンクのCMのお母さん役のイメージしかない世代が見たら、卒倒するのではと思うほどエロティックで魅力的だった。
「その気もないのに、わざと北斎を挑発するシーンの妖しい眼差し。明らかに着衣シーンよりも多い〝すっぽんぽん〟のシーンでは、しなりの利いた魅惑のボディーに目を奪われます。後半は、お直にそっくりな田舎娘として再登場し、北斎の有名な春画『蛸と海女』の創作シーンで巨大な蛸と絡み合うなど、NGなしの大立ち回りを見せてくれるのです」(同)
現代の女優たちも、レジェンド女優たちを、もっと見習ってほしいものである。
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