コロナ禍でリモートワークが当たり前になり、都会から地方都市へ移住する人たちが増えている。しかし、縄張りに縛られ、おいそれと〝越境〟できないヤクザたちの間では、都会と田舎の「地域格差」が生じているという。実際、都会と田舎でヤクザの生態はどう違うのか。
「音(拳銃の発砲音)が鳴らなくなって久しい」と囁かれた状況から一転、ここ数年は血なまぐさいニュースが飛び交っているヤクザ業界。長年の共存共栄路線で溜まった不満が一気に爆発したかのように、都会も田舎も問わず、揉めごとが急増しているという。
「都会の繁華街では『同じビルのフロアごとに〝ケツ持ち〟が違う』なんてことも、そう珍しくないですからね。面倒を見ているスカウトやホストが、簡単に看板を出してトラブルになるのも都会ならでは(笑)。いずれにせよ、集団で囲むのが最近のやり方なので、若い衆には『少人数で歩くな』と言ってます」(都会幹部・40代)
「業界が不況だと隣の芝生がますます青く見えるので、田舎では身内争いばかりです。特に若い世代で目立っている者には内部からのやっかみも激しく、何かあれば潰してやろうという者も多いですね」(田舎幹部・50代)
「酔った馬鹿が、勢いでSNSに兄貴筋の悪口を書き込み、抗争寸前に発展するなんてアホなこともありましたよ」(田舎幹部・30代)
“意識高い系ヤクザ”のディフェンス力
また、こうした暴力沙汰以外にも、金銭絡みのトラブルが増えており、特に都会では身内の犯行と思われる強盗事件が相次いでいる。
「近年では、親分や兄貴分にも秘密のシノギで稼いでいる者が多いので、そういう金は盗られても(組織にも警察にも報告できず)泣き寝入りです。グループ側は周到に準備を重ね、ターゲットが不在、もしくは1人のときを狙って集団で押し入ってくるので、抵抗は不可能です」(都会組員・30代)
こうした事件によって本人が痛い目を見るならまだマシだが、家族が巻き込まれる危険性も十分にあり得るのが、ヤクザのつらいところ。
それゆえ、都会、田舎を問わず〝意識高い系ヤクザ〟は、自宅全室にゴルフクラブなどを備え、ディフェンスを固めているという。