「風と雪におびえて中止」田中角栄の事件史外伝『炭管事件と獄中立候補』Part6~政治評論家・小林吉弥

昭和23(1948)年1月13日、小菅の東京拘置所を保釈された1年生代議士の田中角栄は、その日のうちに上越線の夜行列車に飛び乗り、6時間半を費やして翌14日未明、新潟県・南魚沼の六日町駅に降り立った。1月23日の投票日までわずか10日を残すのみ。すでに選挙戦は終盤に入っていたのである。 それにしても、なぜ田中は当時「辺境の地」と言われたこの南魚沼の地で、火急の折の第一歩を踏み出したのか。 この南魚沼一帯は、わが国でも名にしおう豪雪地帯で知られている。住民は、1年のうち3分の1を深い雪の...