「一歩も引かぬ」田中角栄の事件史外伝『炭管事件と獄中立候補』Part3~政治評論家・小林吉弥

昭和23(1948)年11月中旬、時に満30歳の1年生代議士・田中角栄法務政務次官の東京・飯田橋にあった自宅と、社長を務める「田中土建工業」本社の双方に、東京高検特捜部の家宅捜索が入った。 捜索事由は、「炭管法案」を潰すため炭鉱業者が集めた法案成立に向けての反対運動資金5000万円のうち、九州の業者から田中のもとに渡ったとされる100万円の小切手による収賄容疑と、そのカネを法案成立の反対気運を高めるため、政党関係者に配ったとする贈賄容疑によるものだった。 こうした疑惑により田中は、法務...