「もう一つの行政機構」田中角栄の事件史外伝『越山会―最強組織はどうつくられたか』Part4~政治評論家・小林吉弥

政治家の後援会として最盛期、じつに会員数9万人余り、唯一無二、最強にして最大の「越山会」が成り立っていた要因は、組織としての地元からの要求の吸い上げ、すなわち陳情に対する処理能力と、それを可能にするための予算、すなわち田中角栄による公共事業費の獲得ということにあった。 田中への陳情ルートは、よく言われる東京・目白の田中邸における毎日の〝陳情受け付け〟が一つ、もう一つが翌年の予算について大蔵省(現・財務省)原案が出る前の7月から8月にかけて、田中側が〈新潟3区〉へ出向き、当時の33市町村を...