本好きのリビドー/悦楽の1冊~『生き抜くための俳句塾』(左右社:北大路翼 本体価格1600円)

池波正太郎や立原正秋の食と味にまつわるエッセイを読めば、たちどころに真似して一杯やりたくなる。小林信彦や蓮實重彥の映画評論を読めば一刻も早く、作品は何でもいいから劇場に駆けつけたくなる。 同様に本書読了の暁には、四の五の言わず、とにかく無性に一句、衝動的に詠みたくなるはずだ。友人仲間でメンバーに誘えそうな顔が思い浮かぶようなら、間違いなく句会も開きたくなるだろう。その点で著者は対世間的に俳句の世界における最良のアジテーターなのはまぎれもない。 いちいち腹にコタえる台詞の清々しさ 口調こ...