『性産業“裏”偉人伝』第29回/かんなみ新地の元経営者~ノンフィクションライター・八木澤高明

阪神電鉄尼崎駅で電車を降り、長いアーケードを歩いた。アーケードが切れ、夏の西日が住宅街の向こうに沈もうとしていた。目の前に、色街特有の安普請の建物が軒を連ねていた。 その色街とは、今では消えてしまった、「かんなみ新地」である。 私は甲子園球場で高校野球を観戦したあとに訪れた。店はすでに営業していて、開いた引き戸の向こうに若い女性が椅子に座っていた。 【関連】『性産業“裏”偉人伝』第28回/黄金劇場の照明係~ノンフィクションライター・八木澤高明 ほか かんなみ新地は、一本の道...