『性産業“裏”偉人伝』第27回/真栄原社交街のちょんの間経営者~ノンフィクションライター・八木澤高明

「こっちにハマっちゃって、帰りたくないんですよ」 夏の暑い盛り、20代前半と思しき娼婦のつぶやきが今も耳にへばりついている。 娼婦がいたのは、沖縄にかつて存在した真栄原社交街(宜野湾市)。狭い露地という露地にちょんの間が軒を連ねて、闇夜にまばゆき光を放っていた。 件の娼婦は名古屋出身で、沖縄に遊びに来てそのまま暮らしたいと、ちょんの間で働き出したと言った。 果たして、その言葉が真実を語っているのかどうか定かではない。しかし、彼女の風貌からは、娼婦らしからぬ健やかさのようなも...