(画像)Sergey-73 / Shutterstock.com
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海水温上昇で漁獲量激減!世界的温暖化で不漁・価格高騰に産地も悲鳴

3月から5月に旬を迎える〝春の魚〟シーズンが到来したが、日本各地の名産の魚が温暖化による海の異変で漁獲量が激減しているという。


世界的に進んでいる温暖化。日本周辺の海域の昨年7月の海水温を過去30年間の同じ月の平均値と比較すると、2~4℃高くなっている。


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〝イカの街〟で知られる北海道函館市ではスルメイカの不漁が続き、大分県の名産・関サバは1日に数本しか水揚げされない日もあるというから驚きだ。


「富山県・氷見の寒ブリも近年、小型化しています。新巻鮭で有名な岩手県の鮭漁も今年1月末現在で約445トンと、2010年の水揚げ高1万9011トンの約2.3%にまで減少している。買い手は旬の魚、しかも名産地のものを欲しがるから、不漁は値段高騰に直結していますよ」(漁業ライター)

名産地も変わるほどの温暖化…

ちなみに、昨年作成された全国各地の漁獲量減少マップでは、北海道根室のサンマが2010年4万7537トン→21年1万480トン、函館・スルメイカ11年4725トン→21年490トン、富山県・氷見の寒ブリ11年4万7279本→21年1万1013本となっている。

「長崎県は春の魚の代表格であるサワラ(鰆)の名産地ですが、その漁獲量は12年の1416トンから21年には600トンと大幅に減少しています」(水産庁関係者)


海の温暖化で名産地の魚が減少する一方、新たな〝新顔〟の魚も次々登場している。函館はスルメイカに代わってブリの豊漁が続いているのだ。


「函館のブリは10年が2010トンだったのが、21年は1万4000トン。岩手県は鮭に代わってシイラが10年前に比べて10倍以上水揚げされるようになった。宮城県は10年に1トンだった太刀魚が、21年は500トンで500倍増。福島県も10年に2トン弱だったトラフグが、21年は27.8トンと大幅増。福島県ではトラフグを『福トラ』としてブランド化して売り込んでいます」(前出・漁業ライター)


温暖化による海の異変で、名産地の魚の入れ替わりが急速に進んでいる。旬な春の魚も時代の波に飲み込まれる?