石垣島の夜釣りにてミナミクロダイの好釣果に恵まれた前回。夜の岸壁にドラグ音が響き、飽きずにアタリが出る釣りは実に楽しいものでありました。が、異端児（変わり者とも言う）のワタクシとしては、クロダイもいいけれど、せっかく南の島に来ているのだから、もっとケバケバしい〝これぞ南国の魚〟というヤツを釣りたいところ。

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ということで、今回は石垣島でも定番ポイントとも言える八島にやってまいりました。釣り人には「サザンゲート下」と言った方が通りがよいかもしれません。サザンゲートブリッジの架かる岸壁は、水道となっているため潮通しがよく、適度な水深もあり、小物から大物まで魚種多彩に狙えるポイント。ここならば、何かしら南の島らしい魚に出会えるでしょう。

到着すると平日とあって岸壁に釣り人はおらず、いつも誰かしら竿を出している橋の下の角も空いています。こりゃラッキーと、角に釣り座を構えて投げ竿を2本準備。市販の胴突仕掛けに、前回のミナミクロダイでも好結果を残した〝アルゼンチン産赤エビ〟のカットをエサにして、ブッ込み開始です。

水道に向けて仕掛けを投じ、竿掛けに竿を置いてアタリを待ちますが…アリャリャ、思いのほか潮の流れが強く仕掛けがガンガン流されます。そして根掛かり。ここは潮通しがよい半面、水道となっているため潮回りの大きい日は、仕掛けが止まらないほど流れが強くなるんですな。加えて、底には所々に珊瑚のような障害物があるため、根掛かりも頻発します。手持ちで一番重たい30号のオモリでも仕掛けは止まらず、釣りになりません。さて、どうするか…。

エサ取り多し放置竿にヒット

遠投は諦めて、オモリが流されない範囲の近場で勝負です。軽く20メートルほど投げてアタリを待ちますが、すぐに何かしらのアタリがあるだろうという予想に反し、竿先に反応はありません。しばらく待って仕掛けを上げてみると、エサがきれいに取られております。どうやら、ハリに掛からない小物たちの魚影は濃いようで…。

そこで、1本の竿の仕掛けを小さいハリにチェンジ。エサも内地から持ち込んだアオイソメにしてみると、早速、コンッ！　とアタリが出ました。断続的に出るアタリに適当な頃合いで合わせるとハリ掛かり。ほどよい手応えで釣れたのは、手のひらサイズのオウムブダイです。メスなので、くすんだ色合いながら「この調子でやれば、いずれ真っ青で派手なオスも来るのでは…」と、アオイソメを付け替えて仕掛けを投入。アタリを待ちます。が、ここからは再びアタリがなくエサが取られる展開に。おそらくスズメダイやらなにやらの小物が湧いているのでしょう。

竿を手にすると、すでに魚は掛かっているようで鋭い手応えが伝わります。それほどの重量感ではありませんが、ギュンギュンと元気な引きを楽しみながら、抜き上げた仕掛けに付いていたのはアミメフエダイです。食べて美味しいフエダイ系ということに加えて、南国らしい派手めな体色。アメリカ合衆国の星条旗に似た色合いから、当地では〝アメリカー〟とも呼ばれ、決して本命として狙われることはありませんが、今回は南国らしい派手な魚狙いなので満足な1尾です。

アミメフエダイとオウムブダイ。一般的に市場で目にすることはあまりないこれらを、バター焼きと煮付けで一杯やることにします。

ブダイやベラの仲間は煮付けがテッパン。オウムブダイの煮付けは、しっとりとした身質と淡白な風味で上品な味わいです。そしてアミメフエダイのバター焼き。先述のとおり、美味なものの多いフエダイの仲間ですから当然美味。フワッと身離れのよい白身は香ばしく、石垣島の地ビールも進みます。

青や黄色で水族館の熱帯魚コーナーにいるような派手派手な、というには一歩及びませんでしたが、食べて美味しく、それなりに南国らしい魚に出会えて、まずまず満足な釣りとなりました。

三橋雅彦（みつはしまさひこ） 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。