新型コロナウイルスの影響で、十両以上の休場力士が18人。白鵬、鶴竜の両横綱の姿も初日からなく、綱取りに挑んだ大関・貴景勝も途中でリタイア…。そんな異常な初場所で、また新たなヒーローが誕生した。
西前頭筆頭の大栄翔(追手風部屋)が、火の出るような強烈な突き押しで三役以上を総なめにし、平幕優勝をやってのけたのだ。
「まさに救世主。コロナ感染者が相次ぎ、途中打ち切りもあり得る状況でスタートし、目玉力士も次々に失速。この先、どうなるか不安だらけの場所を、誰も予想しなかった力士が救ってくれました。これまで優勝力士が1人も出ていない埼玉県出身というのも話題になりました」(担当記者)
相撲は荒々しいが、誰からも愛される好人物だ。母と兄1人の母子家庭で育ち、中学時代は相撲道場に通うかたわら園芸部に所属。ヒマワリの花が大好きで、キュウリやナス、ゴーヤを育てていたという。
弟のために大学進学を諦めて就職した兄の支援を受け、高校相撲の名門・埼玉栄高に進学。
「早く母親を楽にしてやりたい」と、自身も大学進学を諦め、追手風部屋に入門し、初土俵から2年半後に十両に昇進。初めて給料をもらうと、真っ先に母と兄をしゃぶしゃぶ屋に招待し、ご馳走したそうだ。
初場所は4年連続で平幕力士が優勝
趣味は、愛犬チロルとの散歩。部屋の近くのペットショップで雄のタイニープードルを購入し、最初は自分の部屋で飼っていたが、巡業などで面倒を見るのが難しく、現在は埼玉の実家で飼っている。大栄翔は、暇があると実家に帰って一緒に散歩するのを楽しみにしているほどだ。
「これまで追手風部屋と言えば遠藤が部屋の顔でしたが、彼は根暗で、人付き合いも下手。これからは大栄翔中心にまわっていくはずです」(部屋関係者)
初場所の覇者が4年連続で平幕力士という異常事態。原因ははっきりしている。上位がだらしないからだ。
世代交代が迫られているのは明白。まずは休場続きの両横綱を引退させ、大栄翔のような若手の育成に力を入れるべきだ。
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