岸田文雄 (C)週刊実話Web
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岸田政権の命運決まる!? 統一地方選“激戦区”北海道・大阪・奈良・徳島の舞台裏

岸田政権の今後を占う上で、重要な統一地方選挙が目前に迫った。とりわけ、注目されるのは自民党が分裂選挙に陥った知事選だ。敗れれば、首相の責任問題にも発展しかねない。大阪ダブル選も諦めムードが漂う。抜き差しならない選挙戦裏レポート!


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4年に一度行われる統一地方選挙の前半戦の幕が、3月23日の知事選告示で切って落とされた。知事選に関していえば、北海道、大阪府、奈良県、徳島県など9道府県。今回の統一地方選は、複数の自治体で自民党の分裂選挙が勃発するという異例の事態も生じている。その争いに乗じ野党が〝漁夫の利〟を得る可能性も大いに出てきた。


まず保守分裂の代表的選挙は4月9日投開票の奈良県知事選挙だ。


「奈良で自民党県連会長を務めるのが、国会で『ねつ造文書騒動』で自身のクビをかけドタバタ劇の渦中にいる高市早苗経済安全保障担当相です」(地元県議)


ねつ造文書騒動とは、今国会で立憲民主党が総務省内部文書を基に、2015年の安倍政権下で官邸サイドがテレビメディアなどに圧力を掛けた疑いがあるというもの。文書には当時総務相だった高市氏と安倍晋三首相とのやり取りもあり、高市氏の圧力疑惑が浮上したのだ。高市氏は「自身に関する記述は不正確。ねつ造でなければ大臣も議員も辞職する」と、森友学園問題での安倍首相発言を彷彿とさせるような大見得を切り、火に油を注いだ。


「奈良県知事選に出馬する元総務官僚の平木省氏はねつ造文書問題時の総務大臣秘書官で、高市氏の腹心。高市氏は『現職の荒井正吾知事は78歳と高齢。5選目では多選批判もあり勝てない』として平木氏を推し、自民党公認とするよう調整、党本部に申請した。これに荒井知事側が『高市氏のやり方は強引』として猛反発し、奈良県知事選は分裂選挙に突入した」(同)

維新候補“初”の知事誕生か

出馬宣言した荒井氏の背後には二階俊博元幹事長の影もチラつくという。

「荒井氏は元運輸官僚で二階氏が運輸政務次官当時の子分。以来、二階氏とは一蓮托生の動きを見せており、今回も裏で二階氏が糸を引いていると、もっぱらです」(自民党幹部)


自民党分裂選挙で追い風が吹いているのが、日本維新の会が擁立した山下真・元生駒市長だ。


「大阪などで選挙に強い維新にすれば、統一地方選で勢力範囲を全国区に広げたい。3月上旬に行った地元紙調査では、山下氏が自民党系候補よりも頭一つリードしている」(維新関係者)


前回(2019年)の奈良県知事選で荒井氏の獲得票は約25万6000票。対する維新擁立候補は約17万4000票。一本化できなかった自民党の前回票が単純に二分されると、平木、荒井両氏はそれぞれ約13万票。大阪以外で維新候補の初知事誕生も夢ではない。


「自民党が負ければ、高市氏の政治生命にもかかわる大問題。しかし、岸田政権はそれ以上に痛手を負うだろう。維新は4月9日投開票の統一地方選で大阪ダブル選に臨む。大阪府知事選には現職の吉村洋文氏、大阪市長選には横山英幸府議が立候補している。自民党は府知事候補として、これまでさんざん自民党批判をしてきた法学者の谷口真由美氏を支援するのだから党内の理解を得られない。ポスト岸田狙いの自民党・茂木敏充幹事長は吉村氏らと1月中旬、焼き鳥店で舌鼓を打っており、党本部と府連のチグハグさを露呈している」(前出・自民党幹部)


さらに、岸田政権が懸念する分裂知事選がある。〝令和阿波三国志〟と称される徳島県知事選だ。

“内助の功”もスキャンダルで台無し

現職の飯泉嘉門知事が6選を目指し出馬し、自民党県連は飯泉氏を推薦。ここに徳島県知事を3期務めた三木申三氏の子息である自民党前参院議員の三木亨氏が挑む構図に加え、自民党の後藤田正純氏も衆院議員を辞職して参戦。自民党系3候補が仁義なき戦いを繰り広げるのだ。

「正純氏の大叔父は、元官房長官で『カミソリ』の異名を持つ後藤田正晴氏。正純氏自身も『政界のプリンス』と持て囃されたうえ、嫁さんは『お嫁さんにしたい女優ナンバー1』として人気を博した女優の水野真紀。彼女が地元入りし1回微笑み、手を振れば1000票は堅いといわれ、衆院選では常にブッチギリで当選してきた」(政界事情通)


しかし、この流れが変わったのは後藤田氏の女性スキャンダルだ。2011年に銀座ホステスとの不倫、18年にはSNSで知り合った女性と深い仲になった揚げ句、その女性から「結婚詐欺」で訴えられるありさま。


「これを契機に真紀さんは愛想を尽かし、選挙応援に入らず離婚説も流れた。この頃から正純氏は人が変わったように『飯泉知事の多選』と『知事と自民党県連のなれ合い』を批判し、県連内から煙たがられた。前回の衆院選では県連は自主投票となり、正純氏は小選挙区で無所属候補に敗れ比例で復活当選したほどです」(夕刊紙記者)


統一地方選前半戦について選挙アナリストが語る。


「北海道知事選は与野党の対決が固まった。仮に自民党が推す知事候補が徳島、奈良で敗れれば、統一地方選後半戦にも影響し岸田政権批判が強まるのは必至」


しかも、4月23日は国政5補欠選挙の投開票も行われる。注目は山口だ。岸信夫前防衛相の議員辞職に伴う衆院山口2区、安倍元首相死去による衆院山口4区だ。5月のG7広島サミット後の解散総選挙は、この結果如何となる。