社会

なかやまきんに君も解決できない「生乳大量廃棄問題」いったい誰が悪いのか

(画像)Yanawut.S / shutterstock

なかやまきんに君が、牛乳の可能性を広げる飲み方や使い方を発信する動画『MILK POWER チャレンジ』が話題だ。



お馴染みの「ヤー!」のかけ声とともに、「プロテインの牛乳割り」「牛乳でつくる塩ラーメン」「コーラミルク」などのレシピを紹介。牛乳の魅力を伝えているが…。


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「現在、北海道などの酪農家では〝生産調整〟という名目で、搾ったばかりの生乳を大量廃棄していることが社会問題化しています。これは、コロナ禍で休校が相次ぎ、学校給食の回数が減ったことや、飲食店などの需要が大幅に減ったことなどが原因とされている。そこで、北海道の経済農業協同組合連合会『ホクレン』が、若者に人気のなかやまきんに君をPRに起用したわけです」(フードライター)

国内で廃棄して海外から輸入

2021年末に吉本興業から独立したなかやまきんに君は、なぜか若者に大人気で、流行に敏感な関東の高校生男女100人を対象に実施したトレンド調査の「体育の教師になってほしい芸能人」部門で堂々の2位を獲得。「ヤー!」「パワー!」といったセリフも、若年層の間で流行した言葉や文化を表彰する「Simeji Presents Z世代トレンドアワード2022」で年間大賞を受賞している。

「若者世代の〝牛乳離れ〟も深刻で、彼らは学校給食が終わると、途端に牛乳を飲まなくなる。また、牛乳の応用バリエーションの少なさも問題で、『そのまま飲む』という人が65%も占めています。ホクレンは、大福と牛乳でお汁粉をつくるなど、ちょっと変わったレシピなども紹介。なかやまきんに君も起用したようですが、残念ながら反応はイマイチのようですね」(前出・ライター)

2014年にバターが不足したことから、国は生乳生産量の引き上げを推奨。酪農家が牛を増やすことや牛舎の設備投資などに対して補助金を交付していた。

ところが、コロナ禍による需要の減少に伴い、今度は減産方針に転換。生乳の大量廃棄が社会問題化した途端、「乳牛を食肉処理すれば補助金を出す」などと政策をコロコロ変える。

「それなのに、国は海外との協定に基づき、毎年度14万トン近い乳製品を海外から輸入し続けています。国際協調の観点から、これはやめられないと主張。国内の酪農家たちがエサ代の高騰にも苦しみ、泣く泣く生乳を大量廃棄しているのに、〝国際社会でのメンツ〟を優先しているのです」(同・ライター)

なかやまきんに君の「ヤー!」もむなしく響く現状だ。

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