いやあ、恐れていたことがついに現実に…先週の桜花賞トライアル・フィリーズレビューである。先週の文中で「これは稀に見る大混戦で、フルゲートだし、超々難解の一戦となりそうだ」と書き、「正直言って何が飛んでくるか判らない。連続的中が途絶えるのも覚悟の上、とハラをくくった」と予防線を張って置いたら、その通りの結果だもの…何てこった、と天を仰いだ。一応軸の鮫島ブトンドールは掲示板にも上らない6着となり、5頭ボックスの1頭の北村友ムーンブローブは2着に来たが、1着の吉田隼シングザットソングは押さえの一頭にすぎないので、買い目までは回らず、3着の富田ジューンオレンジは全くのヌケではお話しになりませんなあ。それにしても抽選で突破したばかりのシングザットソングが、ブトンドールと同じ倍率の微差2番人気とは、買われ過ぎでしょ、と思ったものだが、買ったファンの観る目が正しかったようだ。
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では、同日の重賞・金鯱賞にしていれば取れていたかというと、松山マリアエレーナから買って見事に轟沈。内で包まれて抜け出せず脚を余して負けた感もあるが、言い訳にはならない。先週は、何をやっても完敗、全滅でした。穴があったら入りたい気分。
そんな暗い気分で日曜日の夜を迎えたのだが、一気にスカッとさせてくれたのが、WBCのオーストラリア戦での初回、大谷翔平選手の看板直撃超特大ホームラン！ それも自分が大写しの宣伝看板だもの。どこまで凄いんだ、ほとんどマンガの世界だよ、と唸ったものだ。正直言って、プロ野球公式戦原理主義者の私は、WBCに興味は薄かったが、大谷選手だけは別格で、予定通り準々決勝を突破したし、来週の準決勝・決勝も、こりゃ、観るしかないか（笑い）。
で、すっかり気を取り直して、やっぱフィリーズレビューとかさ、中高生女子の徒競走みたいなレースはいけませんな（本当は〝牝馬の鉄〟ってぐらい牝馬好きなくせに）。
“映画連想馬券”の本命はディープボンド
「その点、何ですな、今週は安定の古馬重賞・阪神大賞典ですからね。少しホッとしますなあ」と、急に横町のご隠居口調になったりして。確かに、頭数もここ10年、9～13頭と手頃だし（今年は14頭）、1～3番人気が堅調で、本命党のレースでもあるしね。おまけに川田、松山、ルメール、岩田望などリーディング上位騎手がズラリだもの。そのリーディング争いも苛烈そのもの。先週はルメール大将が5勝の固め打ちをすれば、川田も負けじと6勝を積み上げ、1勝差で川田が首位、という状況となり、〝騎手でも楽しむ〟私としては実にスリリングで面白い。
さて、話題の中心はこのレース3連覇がかかる和田竜ディープボンドだろうが、有馬記念2着で、引退した福永から川田に乗り替わるボルドグフーシュ、短期免許だったマーカンドからルメールにスイッチするジャスティンパレスも差のない人気を集めそう。これに〝リピーターの多いレース〟だけに、昨年2着の岩田望アイアンバローズ、そしてご贔屓・松山騎乗でここが勝負のブレークアップ。以上、ピックアップした5頭がすべて前走から乗り替わり、とは珍しいのではないか。他に石橋ユーキャンスマイル、武豊ゼーゲンなどもいるが、この5頭に絞り、軸は川田ボルドグフーシュで。
例によっての〝映画連想馬券〟だが、ここは定番、ディープボンドから、やはり007シリーズについて記したい。以前、「最高のボンドガールは誰か？」という企画に乗って 私が選んだのが第17作『ゴールデンアイ』（95年）。そういえば、この当時、ゴールデンアイという馬が重賞でも活躍したっけ。5代目ボンド、ピアース・ブロスナンの第1作で、ファムケ・ヤンセンが演じた悪女ボンドガール〝ゼニア・オナトップ〟。異常に強い太ももの締め付け力で〝万力責め〟して、男の腰の骨を粉砕して殺すという必殺技が凄すぎる！ 最後まで改心したりやボンド側に寝返ったりせず、究極の〝悪のボンドガール〟の矜持を守りきるあたり、あっぱれというほかはない。ぜひ、鷹揚なるM心を持って、この〝太もも万力責め〟シーンをマンキツして欲しい。
買い目は、川田ボルドグフーシュからは厚目の①③⑦⑧⑬の5頭ボックス、馬連＆3連複。目指せ、再びの連続的中街道！
秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』（キネマ旬報社）など。