『ポンコツ一家』講談社
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『ポンコツ一家』著者:にしおかすみこ~話題の1冊☆著者インタビュー

『ポンコツ一家』講談社/1540円
にしおかすみこ 1974年生まれ。千葉県出身。2007年日本テレビ系『エンタの神様』で女王様キャラのSMネタでブレーク。春風亭小朝師匠の指導のもと落語に挑戦、高座名は『春風こえむ』。『FRaUweb』にて『ポンコツ一家』連載中(毎月20日更新)。
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――コロナ禍で仕事がなくなり、戻った実家がすっかり変わり果てていたそうですね。


にしおか ちょっとしたゴミ屋敷のようでした。容器やらが散乱し、床は砂でジャリジャリいって、昼間なのにカーテンを閉めきって薄暗く、その中で座椅子に母がポツンと座っていました。実家に戻った当初、私は何も分かっていなかったので、しょっちゅうもめました。1階の居間で母が「頭かち割って死んでやる!」とブチ切れて、2階に上がって寝るんです。で、少し時間を空けて、この一連を3セットくらい繰り返します。あれ? 変だなとこのとき、初めて母の認知症を疑いました。


――ダウン症のお姉さんはどんな方ですか?


にしおか 私が疲れてぐったりしていると、私の部屋に来て、ひとしきり歌ったり踊ったりすることがあります。姉なりの励ましですが、大概、真夜中なのでどうしたものかと思います。「勘弁してよ~」と言うと「ズコー」と、おどけます。姉は優しいです。

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――家庭の様子がコミカルに描かれています。ご家族の反応はありましたか?

にしおか 家族には伝えていないので、知らないと思います。ちなみにですが、本を出すことは、家族をネタに売ったということです。「ごめんね」と罪悪感を持っても、私も家族も幸せにはなりません。私は自分ファーストです。私が書くという好きなことをして元気でいられること、家族が倒れたときに家でできる仕事があると助かる、読んでくださった方々に笑ってもらいたいなどなど、ポンコツなりのポンコツな決断です。ただ書籍化にたどり着いたとき、うれしくて母に漏らしたら、母は「あんたが書いたもんを誰が読むんだ」。さすが身内、気持ちをえぐるなあと思いました(笑)。「周りの方々に感謝しなさい」と言いながら「読んでもらえるだけでもありがたいんだから、タダで配りなさい」とも言っていました。これが私たち家族の生活費にもなりますし、それこそたくさんの方々のお力添えで1冊の本になるので、それは無理なのよ…。「おお、うぅん」と生返事になってしまいます。


――最後に読者にメッセージをお願いします。


にしおか 『ポンコツ一家』は何か役に立つような情報があるわけではありません。悩んでいる方々の疲れが少しでもとれないかな、箸休めになったらな、たくさん笑っていただきたいな、それに尽きます。連載は講談社の『FRaUweb』で続いていますので、今後もお付き合いいただければ幸いです。


(聞き手/程原ケン)