米国に丸裸にされた北朝鮮…金正恩・愛娘披露でも容赦なく進む「斬首作戦」
北朝鮮は建国以来、朝鮮労働党と政府が国民の生活を保障する社会主義を標榜しているが、1990年代の大飢饉によって食糧配給制が崩壊し、国内経済は完全に麻痺している。
「そもそも共和国と称していながら事実上の一党独裁体制を敷き、封建王朝のように世襲制を取り入れた時点で根本から話が違っています」(外交関係者)
北朝鮮では「主体的な革命観を構築するためには党と首領の指導が必要」という考え方から、国民に極端な個人崇拝が要求される。
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「金日成主席、金正日総書記、そして金正恩総書記と、親から子へ3代にわたる独裁体制を続け、ついには4代目を予見させる金主愛の登場を見れば、いくら世襲を正当化しても白々しいばかりですよ」(同)
正恩氏の次女とみられる主愛だが、10歳前後と思しき少女の偶像化を図る所業は目に余る。
「主愛は昨年11月から公的活動を始めましたが、幼い子供が年配の幹部からあいさつを受け、手放しで称賛される姿をさらすことなど、日成氏も正日氏もしたことがありません」(北朝鮮情勢に詳しい元大学教授)
主愛の登場は北朝鮮による宣伝工作の一環で、真の目的は慢性的な食糧不足と米韓による圧力から、国民の目をそらせることにある。
「正恩氏が家族に優しく、国民を思う温かい人物だとイメージアップ作戦を展開したわけです」(同)
しかしながら、北朝鮮の国民は主愛の姿を気色ばんで見ている。高級感あふれる衣服に身を包み、栄養満点の立派な体躯だからだ。
「韓国メディアは、北朝鮮南部の開城市で餓死者が発生していると報じています。同市は北朝鮮でも有数の米どころ。ここで餓死者が出ているということは、国全体が深刻な飢餓状態にあるとみて間違いありません」(北朝鮮ウオッチャー)
ひっきりなしに行われる会議で
そんな中、2月26日から3月1日まで、正恩氏の陣頭指揮の下で「朝鮮労働党中央委員会拡大総会」が開催された。言うまでもなく切迫した食糧事情への対策を講じるためだ。同総会は昨年12月末に開催されたばかり。前回から3カ月もしないうちの招集は異例のことだが、食糧問題が深刻化した2021年以降はひっきりなしに会議が開かれている。
「前政権時の正日氏は『会議からは何も生まれない。会議をする時間があるならば、労働の現場や農場に出て労働者、農民と共に汗水を流せ』と教示しています。ただ、その正日氏も悲願である『国民の食卓に白いご飯と肉のスープ』のスローガンを実現することができず、正恩氏に最高指導者の地位を継承しました」(同)
今回の会議も「船頭多くして船山にのぼる」ごとし。明確な対策を打ち出すどころか、「当面の解決策としては党の領導と全体人民の団結した力で乗り越える」と、雲をつかむような結論を出しただけに終わった。
一方で米政府は2月22日、公然と「北朝鮮の終末」について触れた。同日、米韓両国はペンタゴン(米国防総省)で「核の傘訓練」を実施したが、その後の共同声明で「核を使えば、金正恩政権を地球上から消去する」と警告したのだ。いわば最後通牒である。
「これまで対北朝鮮の軍事オプションには、米韓軍および韓国人の人命、財産被害が甚大になるという問題が存在していました。しかし、現在のバイデン政権には、この予測が大幅に緩和されることが見えてきたのです」(軍事ライター)
米国偵察衛星で動きがまる見えに…
北朝鮮は、核兵器がたった一発あるだけで「恐怖の核均衡」「相互確証破壊」の原理により「道連れ式」の報復が可能だという論法から、核開発および強化策を次々に打ち出してきた。「具体的には固形燃料式の弾道ミサイルやTEL(移動式起立発射台)などを積極的に開発し、核兵器の生産性を高め、報復能力を確保するための策を進めてきました。核があれば、先制攻撃を受ける危険性が著しく低くなるという考えです。ところが、ここ数年間で米韓は監視、偵察分野をより精密化し、北朝鮮が運用する数百台のTELを常時監視できるようになりました。米国のSAR(合成開口レーダー)偵察衛星は、北朝鮮全域で起動する軍用車両の大部分を認識、追跡しています」(同)
北朝鮮の動きは、今や丸裸にされているといっても過言ではない。こうした状況に呼応して、米韓軍は2月上旬から朝鮮半島に初めて米特殊戦航空機『AC-130J』を出撃させ、北朝鮮の首脳を除去する斬首作戦の訓練を実施している。
「軍当局が、合同訓練の参加戦力を公開するのは異例のことです。バイデン政権の強硬姿勢で、警告の度合いがさらに高まったということでしょう。北朝鮮は相当に恐れをなしているようで、3月5日、米韓合同軍事演習を非難する声明を発表しました」(国際ジャーナリスト)
米韓は北朝鮮に餓死者が出ようが、幼い娘を盾にしようが容赦はない。北朝鮮もいよいよ終末を迎えそうな国際情勢になってきた。
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