企業経済深層レポート (C)週刊実話Web
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コロナ禍で拡大「サブスク飲食」でお得に〜企業経済深層レポート

国内ではここ数年「サブスク」なる言葉が大流行。市場規模が拡大している。


飲食業界関係者が言う。


「『サブスク』とは英語のサブスクリプションの略で、定額の月額料金を支払うことで受けられるお得なサービス。代表的なものは『Netflix』や『Disney+』をはじめとする動画や音楽配信サービスなどですが、最近は車や家電のリース、飲食など生活全般に拡大しています」


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『矢野経済研究所』の調査では、2022年のサブスク市場規模(衣料品・ファッションレンタル、外食サービス、生活関連サービス、多拠点居住サービス、デジタルコンテンツ、食品・化粧品類の定期宅配サービスの合計)は、21年の9615億円から9.5%増の1兆524億7500万円と急増。24年には1兆2000億円をうかがう勢いだ。


市場が拡大している理由を、前出の飲食業界関係者がこう明かす。


「それはズバリお得感です。通常料金よりもかなり低価格で商品やサービスをゲットできる。特に最近は、円安やウクライナ侵攻に伴い食品価格が上昇しているため、飲食店のサブスクに人気が集まっているのです」


その食のサブスクの中でもポピュラーな人気を誇っているのが「カフェサブスク」だ。例えば、大手カフェ『UCC上島珈琲店』のサブスクは、愛好家らに人気を博しているという。

お得なコーヒーパスポート

「発行中のサブスクは3タイプあるが、最も人気の『ネルドリップコーヒーパスポート』は、1日1杯布で漉したコーヒーが飲めて月額5500円。通常価格が1杯530円なので、10日で元が取れる。JR東日本系列が営む『ベックスコーヒー』も、通常290円のコーヒーが月額3300円で毎日1杯飲めるのです」(前同)

もっとも、本誌読者が興味を抱くのはコーヒーよりもお酒の類いだろう。実は、近年この分野でも急速にサブスクが充実しているのだ。


東京、埼玉を中心に格安中華として人気を集める『福しん』には、なんと餃子の定期券があるという。


「月額500円のこの定期は、350円以上のメニューを注文すると、1人前6個入り220円の餃子が無料で提供される。月に3回来店すれば元が取れると好評です」


同店には月額1000円で330円のサワーを1日1杯、月6回まで無料で提供してくれる『サワー回数券』も存在。仕事帰りに一人や同僚と来店し、ちょい飲みするサラリーマンや学生も増えているという。


一方、サブスク関連企業としては国内大手の『favy』が運営に携わる『横丁パス』も大人気だ。


このパスは同社が関わる全国4カ所の飲み屋横丁(『仙台みらい横丁』、『おおいた元気横丁』、『天文館かごしま横丁』など)に出店するレストランや居酒屋など18店舗で使用できる優れモノ。月額500円のパスを購入し、提携店でフードを1品以上注文すれば、なんと『キリン一番搾り』(550円)と『ホワイトホース』のハイボール(380円)が何杯でも半額で飲めるのだ。


「利用者からは『注文杯数や月間の利用回数に制限がないのが、超うれしい』『何杯飲んでも半額なので、会計時に想定以上に安くて驚いた』などの声も寄せられています」(横丁関係者)

1杯無料から何杯も半額…飲み放題まで

また、愛知・名古屋に本社を構える『東邦ガス』が運営する『ワンドリンクサブスク』も、よく似たサービスだ。携帯アプリに登録すれば月額550円で660円以下の酒類が1杯無料になるという(=1100円以上の別メニューの注文が必要)。しかも、こちらは東海地域のみならず関東、北陸とエリアを拡大中で、今では1200軒を超える店で使用可能なんだとか。

「東海地方では『フラノミスタ』、関東では『よりみちパスポート』などサブスクの呼び名は違うが、手軽さがウケて登録者数が増えている。しかも和食、中華、イタリアン、焼き肉、インド料理、ビストロ、割烹などさまざまな店が提携しているため、ハシゴ酒をすればそこでも1杯無料となる。酒好きにはたまらないサービスです」(常連客)


『JR九州』も通勤定期利用者を対象に、博多駅や周辺店舗でサブスクの実証実験を3月まで展開している。


「定食屋や弁当屋などに加え居酒屋も参加中。例えば『だんらん居酒家HANA 美野島店』は月額900円で通常660円の生ビールを何杯飲んでも330円で提供。『うどん居酒屋粋 博多店』は月3000円の定額制に加入し、一人1000円以上の料理を注文すれば120分飲み放題が何回でも無料。『炭火焼鳥しおたれ 吉塚駅店』も月3000円のサブスクに登録し一人1000円以上の料理注文で、60分の飲み放題が何回でも無料です」(JR九州関係者)


ちなみに、飲食業界でサブスクが拡大している理由は、利用者がお得なばかりでなく、店にもこんなメリットがあるからだ。


「サブスクは継続的に収益が入るストック型ビジネス。そのため、コロナ禍で廃業や休業など大打撃を受けた飲食業界は収益の不安定さを改善しようと、サブスクの導入を加速させているのです」(飲食業界関係者)


店もお客もウインウインなら、サブスクを上手に使って飲まなきゃ損?