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『令和の“応演歌”』葵かを里~20周年を迎え舞を通じても歌を表現していきたい(後編)

葵かを里
葵かを里 (C)週刊実話Web

――前編では、華道(池坊)や茶道(表千家)を始めた経緯や、日本舞踊(芙蓉流)の名取をいただいたこと、また歌手デビューするまでの道のりを話していただきました。日本舞踊や茶道、華道といった日本の伝統文化を踏まえ、2011年12月リリースの曲『京都白川 おんな川』からは古都を舞台とした曲を歌っています。こちらは、どういったきっかけだったのでしょうか?


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葵 日本舞踊で「芙蓉かを里」という名取をいただき、演歌と踊りを主体とした活動に変化しました。そこで『日本舞踊を舞いながら歌う艶歌歌手』というキャッチフレーズをつけてもらい、今日まで活動してきました。

――3月1日発売の新曲は『吉野 千本桜』です。これはまさに古都である奈良県の桜の名所、吉野山を舞台にした曲ですね。

葵 奈良県に熱心なファンの方が多いんです。吉野山にも何度も足を運んでいました。吉野山の桜は、「一目桜」といわれ、一目で千本の桜が見える素晴らしい絶景なんです。吉野山にある吉水神社に、その絶景スポットがあるんですね。

吉水神社は、源頼朝に追われた源義経が静御前と最後の数日をすごした場所でもあるんです。元々、修験者の聖木として桜の木の植樹が盛んに行われ、平安時代以降、日本でも屈指の桜の名所になったそうです。

今年デビュー19年、来年で20周年を迎えます。20周年を迎えるにあたり、踊りの集大成として源義経と静御前の悲話をテーマにした曲を歌いたいと考えていたんです。ですから、吉野の千本桜と源義経と静御前の悲話を組み合わせた新曲は願ってもない曲でした。

歴史を知るほど歌の深みが感じられる

また有り難いことに、新曲のミュージックビデオも世界遺産である吉水神社の義経と静御前が最後の数日をすごした居間で踊らせてもらったうえ、撮影までさせていただきました。その模様は、新曲のタイプBのCDに収録されています。

――歴史には造詣が深いのでしょうか?

葵 歴史は大の苦手なんです(笑)。今回の曲を歌うにあたって、歴史を知らなければ曲の良さが伝わらないのではないかと考え、興味が湧いて勉強したんです。やはり、歴史を知れば知るほど歌の深みが感じられますね。

――新曲で特に工夫した箇所はありますか?

葵 「女の涙か はらはらと」という歌詞の部分ですね。最初の「はら」は静御前の涙と、2つ目の「はら」は桜が舞い散る様子に歌い分けたいと、作曲家の影山(時則)先生と編曲の竹内(弘一)先生に無理を言って作り直していただいたんです。その箇所に注目してもらえたら嬉しいですね。

――最後に、目指す歌手像について教えて下さい。

葵 20周年の集大成として静御前を挙げたように、静御前は内面、つまり芯は強い気持ちを持ちながらも、外見はたおやかな女性だったと思うんです。私自身もそうした女性を目指しつつ、歌だけでなく、舞を通じても歌の世界を表現できるようになれれば嬉しいですね。

あおい・かをり
愛知県西尾市出身。日舞(芙蓉流名取)、茶道(表千家師範)、華道(池坊師範)。2005年『夢みなと』でデビュー。3月1日、桜の名所の奈良・吉野山をテーマにした『吉野 千本桜』をリリース。

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