2月14日に名古屋地裁で結審した裁判が、司法関係者らの注目を集めている。
それが2017年3月に80代の老夫婦を殺害し財布を奪ったとして、強盗殺人罪に問われた山田広志被告(旧姓、松井・48)の差し戻し審。同被告は19年の一審で無期懲役を言い渡されたものの二審でこの判決が取り消され、「強盗目的だったこと」を前提に審理を地裁に差し戻す複雑な経過をたどった。
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司法記者が言う。
「山田被告は名古屋市内の自宅近くに住む83歳と80歳の夫婦に、『仕事もしないでいい身分』と言われたことに腹を立てて刺殺。わずか1200円の現金が入った財布を奪い逃走したことで一審では無期懲役となったが、その後、事件の2時間後になじみのスナックにツケを払いに行ったことが注目された。計画性のある強盗事件だった可能性が問われ、差し戻しとなったのです」
差し戻し審に意味があるのか…
まさに、世間の耳目を集めた残忍で数奇な裁判なのだが、司法関係者らの興味は別のところにあるという。
「注目されているのが、被告の病状なのです。実は山田被告は昨年2月にステージ4の膵臓がんに侵されていることが発覚。検察は『金品目的の残忍な犯行』と死刑を求刑中だが、同被告は医師からも手術や放射線治療はできないと余命宣告されているのです」(前同)
要は死刑判決が下っても、下らなくても、被告に残された時間はわずかなのだ。
「そのため、差し戻し審に意味があるのかも注目されている。出廷した被害者遺族は『命を奪った被告を一生恨む』と訴えたが、被告は罪を認めつつ『私はすでに死刑宣告を受けている』『がんの激痛に苦しむ前に死にたい』と一部メディアにもらしているのです」(同)
注目の判決は3月2日の予定。山田被告は、抗がん剤を服用しながら裁きの法廷に臨むという。
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