これも『老後2000万円問題』の影響だろう。2019年に金融庁が公表した報告書では、平均的な高齢夫婦無職世帯の生活費が毎月約5万円の赤字となり、30年間で2000万円不足するとされ、老後生活に不安を抱える高齢者。資産運用対策として〝不動産リースバック〟に手を出す高齢者が増える半面、トラブル被害も続出している。
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不動産リースバックは、自宅を売却し、まとまった資金を調達。売却後も住み慣れた自宅で生活できるうえ、自宅を買い戻すことも可能なサービスだ。
ネット上には、元東京ヤクルトスワローズ選手兼監督の古田敦也氏やタレントのケイン・コスギらによる広告が頻繁に掲載されている。
「通常のリースバックの場合、固定資産税・火災保険料ゼロ、ローン未完済でも申し込み可能だから、老後の生活費に不安を抱えている人たちにはメリットがあるが、当然、デメリットもあります」(不動産投資ジャーナリスト)
詐欺まがいの業者も…
リースバックのデメリットとしては(1)自宅売却額が市場価格より安くなる可能性がある(2)家賃の支払いが発生する③所有権がリースバック業者に移転する(買い戻した場合は所有権が客に戻る)などが挙げられる。
「リースバックで自宅を売却すると、買取価格は相場より低くなることが多いんです。これが悪質業者だと、さらに安く買い叩いたうえ、『売却しない』と約束したにもかかわらず、違う業者に転売したケースもある。家賃にしても、契約時に『家賃は上がりません』としながら賃貸契約更新の際、値上げを言い渡されるトラブルも枚挙に暇がない。詐欺まがいのリースバック業者もいるんですが、法には触れないので泣き寝入りする被害者が後を絶ちません。そういえば、自宅売却した不動産会社が倒産し、悲惨な目に遭った人もいましたよ」(不動産トラブルに詳しい公認会計士)
リースバックでは、一定期間であれば結んだ契約を解除できるクーリングオフは利用できない。業者が怪しいと感じたら、国民生活センターや消費者ホットラインに連絡することだ。
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