(画像)Krakenimages.com/Shutterstock
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日本も「野球くじ」解禁!? WBC“優勝オッズ6倍”で日本人が米国ネットカジノ爆買い

アメリカのネットカジノ大手が明かしたWBC優勝オッズで、「侍ジャパン」は3番人気の6倍。これが「おいし過ぎる」と、日本人の〝爆買い〟が止まらない。昨年、非合法なスポーツ博打で海外に流出した額は約6兆円。政府はついに「野球くじ」を解禁し、この動きに待ったをかける!?


いよいよ3月8日に野球の世界一決定戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕する。米大手ブックメーカー『MGM』が1月中旬に発表した優勝オッズは、1番人気がドミニカの3倍、続くアメリカが3.5倍。三度目の優勝を目指す日本は、3番人気の6倍だった。


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大谷翔平やダルビッシュ有、鈴木誠也、吉田正尚といった現役メジャーリーガー、山本由伸、村上宗隆ら国内最高峰の選手を招集したベストメンバーで臨むにもかかわらず、日本は「穴馬」扱い。ところがこの事態に、目ざとい日本の野球ファンがすぐに飛び付いた。


「1万円賭ければ6万円、10万円なら60万円…。皆さん、単勝1倍台の人気馬が平気で飛ぶ競馬より『うま味』があると。外れても〝応援馬券〟で楽しめます。100万、1000万単位の投票も少なくありません」(米ブックメーカー・役員)


日本人の〝爆買い〟により日本の直近オッズは3.5倍に下がったが(1月31日時点)、スポーツベッティングは公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレース)と違い、最終オッズではなく、賭けた時点のオッズで払い戻してくれる。つまり、6倍に投じた投票は最後まで有効なのだ。

「G7」の中で唯一合法化されていない日本

他社のオッズも下がっているものの、それが「逆に堅い」と判断されたのか、追随する侍ジャパンの提灯買いが続いているという。

欧米の先進国では近年、スポーツを対象にしたギャンブルが続々と合法化しており、「新たな産業」として莫大な資金が動いている。G7(米国、日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)で合法化されていないのは、日本だけ。我が国は世界標準から取り残された、ガラパゴス状態なのだ。


「日本で認められているギャンブルは、国や地方公共団体などが主催する公営競技だけ。WBCに賭けるには、海外のネットカジノを利用するしかない。これは賭博罪に当たるが、国外で運営しているため、法律上はグレーゾーン。そこで政府と警察は見て見ぬふりをしてきたが、もはや放置できない状況となっている」(スポーツ紙デスク)


「もはや放置できない状況」とは、経済産業省などの調査により、日本から海外のネットカジノに流れる額は年間約6兆円あることが判明したからだ。この額は、4公営競技の賭け金とほぼ同額。新型コロナウイルスがまん延し、自宅でテレビやネット中継を見ながらスポーツ博打を楽しむ人が急拡大したのだ。


しかも、賭けの対象はプロ野球・国内外サッカーにとどまらない。バスケットボール、ラグビー、ホッケー、陸上、ハンドボール、さらには高校・大学野球のほか、アマのマイナー競技にまで広まっている。


各競技団体は、「違法なスポーツ博打マネーが海外に流れ、不正の温床につながりかねない」と懸念する。そこで、「緊張感をもって注視する」と、なぜか腰が重い関係省庁に代わって、国会では「世界的潮流に沿ってスポーツの賭けを合法化し国内販売しよう」という動きが強まっているのだ。


「これを合法化すれば、年間6兆円という巨大市場が生まれ、1兆円規模の税収が見込めます。岸田文雄首相は、異次元の少子化対策、防衛費大幅増を掲げていますが、問題はその財源です。

国外に売り上げが流れるのを防ぐ

スポーツベッティングは、国民の税負担を少なくする切り札になり得ます。年間の売上高が1200億円にも満たないスポーツくじ(toto)とはワケが違うのです」(超党派で作るオンラインゲーム・eスポーツ議員連盟関係者)

先週行われたアメリカンフットボールのプロリーグ、NFLの王者決定戦『スーパーボウル』では、アメリカの全人口の約20%に相当する5040万人もの人々がスポーツベッティングに約160億ドル(約2兆1000億円)を投じたといわれている。2018年にスポーツベッティングを解禁していなければ、8兆円規模の年間売り上げが国外に流れていたという。


日本が合法化を急ぐのも、このためだ。


「日本球界では、ネット事業を手掛けるソフトバンク、楽天、DeNAがスポーツベッティングの合法化に賛成している。スポーツが賭けの対象となることに反対してきた読売も、現在はスポーツ動画配信大手の『DAZN(ダゾーン)』と包括提携し、巨人戦を年間20億円で配信している」(前出・スポーツ紙デスク)


そのDAZNは、ネット画面でユーザーがベッティングボタンを押すだけで、そのままサービスに移ることができる新たなシステムを既に整えている。


球界では、コミッショナーが元経団連会長の榊原定征氏、オーナー会議議長が西武・後藤高志オーナーに代わり、共に積極財政を推進している。テレビ観戦しながら「賭け」を楽しむ「野球くじ」実施は、すぐそこまで来ているのだ。


来夏に迫るパリ五輪にも、合法化の運びとなりそうだ。