(画像)Cast Of Thousands/Shutterstock
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ネッシー・ビッグフット・スカイフィッシュ…心躍る未確認生物「UMA」の正体

未確認生物または未確認動物を意味する「UMA」という言葉は、日本オリジナルの和製英語である。そんな言葉をつくり出すほど日本人はこの手の話に愛着が深く、少年時代はもちろんのこと、大人になってもなおUMAの存在に心躍らせる人はたくさんいる。


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ただし、UMAは「未確認」とはいっても、実は最初から存在していないケースが多々ある。2月7日にも、岡山県の古寺に伝わってきた人魚のミイラを科学的に分析した結果、紙や布、漆喰や綿などで魚を加工したものであることが判明した。人魚ではなく「人形」だったわけだ。


イギリスのスコットランドにあるネス湖で目撃例が相次ぎ、首長竜の生き残りとして世界中を騒がせたネッシーもまた、造形物だったことが明らかにされている。1934年4月、イギリスのタブロイド紙『デイリー・メール』に掲載された湖面から首を出す有名な写真について、1993年11月に撮影した当人が、トリックであったことを告白しているのだ。


この人物の養父が「ネス湖の岸辺で大型恐竜の足跡を見つけた」と発表したところ、デイリー・メール紙に「デマだ」と叩かれて、これを恨んだ彼らは仕返しを計画。それはトリック写真を同紙に送り、記事にしたところで〝実は偽物でした〟と暴露して恥をかかせようという趣向で、ネッシーの正体はおもちゃの潜水艦に恐竜風の首を取り付けた簡易なものだった。


ところが、これが記事になると世界中で評判となり、ネッシー探索隊まで現れる大フィーバーが巻き起こった。ねつ造の当事者たちは想定外の騒動に、「今さら白状したら、どんな目に遭うか分からない」と恐れをなし、死の間際まで真相を隠し続けていたのだ。

アメリカヒグマとビッグフット

とはいえ、トリック写真が記事になる前から、目撃談自体は頻繁にあったとされ、「ネッシーは絶対にいない」とは言い切れない。また、この騒動によりネス湖は観光客でにぎわい、ネッシーを扱ったテレビ番組や雑誌などが好評を博すなど、さまざまな経済効果を生み出したのだから、この嘘がまったくの罪というわけでもないだろう。

ネッシーブームに合わせるかのように日本でも屈斜路湖のクッシー(北海道)、池田湖のイッシー(鹿児島県)などが話題になり、1977年4月にはニュージーランド沖で日本の漁船が、謎の巨大生物の死骸を引き揚げた写真が報じられ、ニューネッシーだと騒がれた。なお、この正体はウバザメの死骸が腐敗して、たまたま首長竜の形になったものだとする説が濃厚だ。


昭和の時代に騒がれたUMAは、ネッシーのような古代生物の生き残り系が多かった。ネッシーの写真はトリックだったかもしれないが、古代魚シーラカンスは現存していたわけで、同様に古代生物の生き残りが世界のどこかにいないとは限らない。


ネッシーと並ぶUMA界の大スターが謎の類人猿で、ヒマラヤ山脈のイエティやアメリカ山岳地帯のビッグフット、広島県にある比婆山のヒバゴンなど目撃情報は全世界で後を絶たない。


実は今年になって、ビッグフットに関する興味深い報告があった。過去のデータを分析したところ「アメリカグマの個体数とビッグフットの目撃事例に関連性がある」というのだ。


具体的には「一つの地域に生息するアメリカグマ900頭に1件の割合で、ビッグフットの目撃情報が寄せられる」ことが分かった。アメリカグマが多く生息する地域ほどビッグフットの目撃情報が多く、これはつまり多くがアメリカグマの誤認だった可能性が高いというのである。アメリカグマは立ち上がることがよくあり、その姿は確かに巷間に伝わるビッグフット像に近似している。

〝見間違い〟がUMAを生む

イエティやヒバゴンについても、クマやサルの見間違い説が濃厚だ。1976年7月に「チンパンジーと人間の中間に当たる未知の生物」という触れ込みで来日したオリバー君は、実際にはただのチンパンジーであったことを多数の関係者が告白している。

アメリカ北東部のニュージャージー州で17世紀から目撃談が続くジャージー・デビルは、白亜紀末に絶滅した翼竜に似た姿とされ、家畜を襲い人に不幸をもたらすとして地域住民から恐れられてきた。


だが、近辺に多く生息するアメリカワシミミズクが、その正体だとする説が有力視されている。夜間に翼を広げて滑空し、地上では直立姿勢を取り、目が赤く光るというジャージー・デビルの特徴が、そのままミミズクにも当てはまるのだ。


つまり、かつてイギリスから入植した人々が、見慣れぬ巨大ミミズクを怪物と錯覚してしまったということなのだろう。ただし、この種のミミズクはエボラウイルスを媒介することがあるようで、その意味ではUMAより恐ろしい存在と言えるかもしれない。


90年代後半からは「高速飛行する目視できないUMA」として、スカイフィッシュの撮影事例が相次いだ。しかし、近年の検証によりその正体はハエやアブなどの昆虫だと判明している。飛行する昆虫の残像がいくつも重なって映り込んだもので、つまり映像機器の発達によって生み出されたUMAだったわけだ。


日本古来のUMAとして名高いツチノコは、胴体が異様に膨らんだ形状がアオジタトカゲに酷似している。しかし、これが日本で飼育されるようになったのは70年代以降のことで、その正体は妊娠や獲物を飲み込んだことにより、腹部が膨らんだマムシかヤマカガシという説が濃厚だ。

既知の生物が腐敗して変容

90年代半ば、南米各地でヤギなどの家畜が襲われ、血液を吸われて死ぬ事件が相次いだ。この犯人とされたのがチュパカブラだ。体長1〜1.8メートルほどで背中にトゲが生え、カンガルーのように飛び跳ねる謎の生物の目撃談は、1000件にも及んだという。

当初、チュパカブラは二足歩行と思われていたが、四足歩行とする目撃談も多く、最近になってその正体は、「皮膚病にかかったコヨーテ」という説が濃厚になっている。


コヨーテはダニに弱く、寄生されると毛が抜け、肌がただれてしまう。それで奇妙な風体になってしまったため、異形の怪物と見間違えたというのだ。家畜が血液だけを吸われたように見えたのは、病気でアゴの力が弱り、肉を食いちぎれなかったためだと推察されている。


2017年7月、静岡県の海岸に異様な生物の死骸が打ち上げられた。その写真がツイッターに投稿されると、姿形が人気映画『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するホビット族のゴラムに似ていることから、静岡のゴラムと呼ばれ話題となった。


さらに、投稿者がすぐ写真を削除したため、「実は宇宙人の死体だった」「あれは実験施設から逃げ出した新種の生物で、しかるべき組織が情報を隠蔽した」などの陰謀論まで流布することになった。


しかし、事実は異なるようで、何人かの生物学者が写真を確認したところ、ゴラムの正体は「アカゲザルの死骸である」と口をそろえたのだ。


アカゲザルは本来、日本に生息していない外来種だが、近年は房総半島(千葉県)で野生化して個体数が増えているという。その死骸が静岡まで流される間に、海水でむくみ、腐乱したことで妖怪じみた姿になってしまったわけである。


謎の死骸がUMAだと騒がれる事例は世界各地で報告されているが、そのほとんどが後日の調査で「腐敗して形状が変わった既知の生物」と判明している。


アフリカの熱帯雨林に住む原住民の間では、大型陸上恐竜の竜脚類に似たモケーレ・ムベンベの存在が伝えられており、80年代にはこれを捜索する調査隊が多数派遣された。


ところが、原住民の話をよくよく聞いてみると、どうやら川や湖沼の近くに生息する生物全般をモケーレ・ムベンベと呼んでいたことが判明する。つまり、これは互いの言語がうまく伝わっておらず、その誤解から生み出されたUMAだったというわけだ。


原住民にカバやサイの写真を見せたところ、「これがモケーレ・ムベンベだ」と言ったという逸話もあり、調査隊員たちはさぞかし拍子抜けしたことだろう。


ただ、最近の研究では白亜紀大絶滅を生き延びた恐竜がいることも示唆されており、地球のどこかにまだUMAが生息している可能性は否定できない。