2月24日にウクライナ侵攻から1年を迎えるロシアだが、欧米諸国がウクライナに戦車や長距離ロケット弾の供与を決める中で、プーチン大統領は焦りを隠せない。侵攻に失敗すれば政権基盤が危うくなり、ロシア国内が内戦や分裂に陥る懸念も指摘されている。
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ロシアは大規模攻勢によってウクライナ東部ドネツク州で占領地を増やし、さらに大都市に向けて前進する狙いだ。軍の総司令官が突然更迭されたり、民間軍事会社『ワグネル』に依存を強めたり、膠着状態が続くロシア軍だが、ここにきて攻勢を決断したのはなぜか。
一つは季節の問題だ。
「ウクライナは春になると、地面の凍結が解けてぬかるみ状態になる。ロシア軍としては進軍が難しくなる春が来る前に、占領地を拡大しておこうという狙いがある」(軍事ジャーナリスト)
もう一つは、ウクライナ軍の武装状況をにらんだものだ。3月以降、世界最強と称されるドイツ製の戦車『レオパルト2』の供与が始まり、ロケット弾も従来の射程75キロから150キロとなる。ゼレンスキー大統領は、さらに戦闘機の供与も欧米に求めており、これらがそろってウクライナ優位に傾く前に、ロシアとしては何としても叩いておきたい。
プーチンが追われる身に!?
そしてさらに深刻な要因は、プーチン氏のメンツだ。昨年9月、ウクライナ東部と南部の4州を併合すると一方的に宣言したが、その後はウクライナ側の反撃で徐々に占領地を切り崩されている。ロシアは勝利宣言に程遠く、昨年30万人の動員令をかけたことで、プーチン氏の国内での評判は急落している。
「今年に入ってさらに追加の動員令を出すとの見方が強まっているが、訓練もおぼつかない予備役が増えても、ウクライナの戦車軍団や長距離ロケット弾の前ではひとたまりもない。勝てない指導者と見なされると、プーチン氏ですら政権を追われることになる」(同)
20年にわたりロシアに君臨してきたプーチン氏が、もしも失脚した場合、待ち受けるのは大混乱だ。ロシア軍元将校のイーゴリ・ギルキン氏は「数百万人の犠牲者が出て、国を滅ぼすような内戦の可能性もある」と述べた。元外交官で、ウクライナ侵攻に抗議の辞任をしたボリス・ボンダレフ氏は、「プーチンの後継者が戦争を継続する可能性は十分にあるが、ロシアが政治的混乱に陥る公算が大きい」との見解を米外交誌に披露した。
モスクワの春は血と泥にまみれた季節になるのか。
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