『名探偵のままでいて』著者:小西マサテル~話題の1冊☆著者インタビュー
小西マサテル(こにし・まさてる) 香川県高松市出身。東京都在住。明治大学在学中より放送作家として活躍。ラジオ番組『ナインティナインのオールナイトニッポン』や単独ライブ『南原清隆のつれづれ発表会』などのメイン構成を担当。【関連】『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』著者:佐々木チワワ~話題の1冊☆著者インタビューほか
――高校時代は落語研究会だったそうですね?
小西 部活のオリエンテーションのとき、ある教室からとてつもない大爆笑が聴こえてきて。「なんだろ」と入ってみたら、落語をやっていたのですが…、それが南原清隆さんだったんですよ。衝撃の面白さにすぐ入部を決めました。高座名は南原さんが「朝起亭はなぢ」で、僕が「朝起亭めやに」でしたね(笑)。卒業後はやはり南原先輩の背中を追いかけて上京し、『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)で漫才コンビ『チャチャ』としてデビューしました。でも、相方が就職しちゃって解散。宙ぶらりんになっていたときに『コント赤信号』の渡辺正行さんが「俺の番組の構成やってみないか」と声を掛けてくださいまして…以来、ずっと放送作家としてこの業界を泳いでいます。
――ミステリーを書こうとしたきっかけは、何だったのですか?
小西 かつて番組を共にしていた元ディレクターの志駕晃さんが『スマホを落としただけなのに』でミステリー作家デビューを果たしたことに衝撃を受けまして、すぐに「とにかく書いてみよう」と決めました。こうして振り返ってみると、なんだか人生の節目節目で「衝撃」を受けてばっかりですね(笑)
病気の存在と実態も知ってほしい
――本作は〝レビー小体型認知症〟の老人が〝安楽椅子探偵〟となりさまざまな謎を解決していきます。どこから発想を得たのですか。小西 実は、父が同じ病気に苦しんでいたんです。特に毎朝現れる虎の幻覚に怯えていました。この病気の最大の特徴が、こうした「幻視」なのですが、父の場合は自分がレビーであるという病識があったんですよね。頭がはっきりしているときには、僕なんかよりも余程キレ者でしたから(笑)。父の最期は実に安らかでした。ですからレビーが「認知症」というワンワードで括られることには、以前から違和感があったんです。「認知症の名探偵」という設定にしたのは、この病気の存在と実態を知ってほしいという思いもあったんですよね。
――次回作の構想を教えてください。
小西 僕の中では南原さんと落語に出会ったときから今までがすべて繋がっているんですよね。落語は人情噺が好きなんですが、実は先頃、本を読んでくださった南原さんから「人情噺の香りがするね」という連絡があって、「あぁ、さすがだな」と(笑)。ですからやはり次回作も人情噺になると思います。腹案はいくつかありますが、もしも待望の声が高まったなら、続編をぜひ書きたいですね。
(聞き手/程原ケン)
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