ウクライナ情勢による飼料代高騰とは裏腹に、子牛の値段が暴落。ただでさえ、冬場は牛乳の消費量が激減するうえ、各酪農家への乳量制限も重荷になっている。〝牛乳ショック〟で全国の酪農家は廃業危機に瀕している――。
熊本県は西日本随一の酪農地帯だ。これまでは生乳(原乳)量が少ないときでも子牛は高値で売れ、経営を支えてきた側面もある。
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「乳牛は子牛を産んだ後にお乳を出すため、継続的に子牛を産ませる必要がある。雌の子牛の多くは乳用牛、雄の子牛は食用牛として売りに出されます。一般的に子牛をセリに出すまでの飼料代は約40万円掛かるとされ、諸々の経費を含めると60万円が採算ライン。今年に入って飼料代は倍近く上がっている。元々、乳用牛は高く売れません。買い叩かれると採算が合わない」(畜産ライター)
昨年末、熊本県家畜市場のセリでは乳用牛・ホルスタインの子牛の雄が1頭当たり平均4万5000円の日もあった。熊本県畜産農業協同組合によると、これは半年前の半分まで価格が下落しているという。
乳化改定しても生活は限界へ!
日本一の「酪農王国」である北海道でも状況は同じ。ホクレン農業協同組合連合会によると、道内の乳用牛の子牛の価格は一時、平均1万円を切ったことさえあるというから目も当てられない。
「乳価改定(飲用向け)では乳業メーカーと昨年11月から1キロ10円増で妥結。酪農家側は最低15円の値上げを要求したが…。現状、10円増では焼け石に水ですよ」(ホクレン関係者)
コロナ禍では牛乳の他にも、バターや脱脂粉乳も過剰になっている。
「今年4月からバターなど加工向けの乳価も1キロ10円値上げになる。バターについては生産調整できましたが、脱脂粉乳はまだです。国は国内の在庫を調整するために昨夏から全国に〝乳量制限〟策を打ち出した。乳量制限は酪農家が出荷する生乳を減らせというもの。現時点で4%減くらい指示されている。飼料代高騰、子牛暴落、乳量制限で酪農家の生活はもう限界の域に達しているんです」(同)
〝牛乳ショック〟は深刻だ。
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