(画像)Efasein / shutterstock
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中国61年ぶり人口減少で経済失速か… 2027年までに“台湾侵攻”の可能性大!?

中国国家統計局は1月17日、2022年末時点の人口が21年末比85万人減の14億1175万人になったと発表した。実に61年ぶりの人口減少により、中国経済は今後、失速することになるだろう。


昨年10月の中国共産党大会では、習近平国家主席の異例とも言える3期目続投が決まり、習氏は「建国の父」である毛沢東以来、最も強力な指導者としての地位を固めた。習氏は演説で、台湾統一について武力行使を放棄しない考えを強調し、「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならないし、必ず実現できる」と強気の姿勢を見せた。


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さらに、習氏は「社会主義現代化強国の全面的な完成を実現し、中華民族の偉大な復興を推進する」と高らかに訴え、建国から100年となる今世紀半ばまでに、アメリカを超える「強国」を建設する考えを示した。


しかし、今回の人口減少は、そんな野望に冷や水を浴びせることになった。中国の人口はインドの推計人口14億1200万人を下回り、首位の座から陥落した可能性があるのだ。出生数は前年比106万人減の956万人で、1950年以来、初めて1000万人を下回った。


1949年の建国以来、中国の人口が減少したのは60年と61年だけだが、それには理由がある。毛沢東が58年に始めた急進的な農工業の増産運動、いわゆる「大躍進政策」で農村経済が混乱し、大量の餓死者が出て人口が減ったのだ。


この大躍進政策の終了に伴い人口は増加基調に戻ったが、1組の夫婦に1人の子供しか認めない「一人っ子政策」が1979年から2015年まで実施された影響で、少子高齢化が急速に進行した。

貧富格差と“高齢化”の進展

習氏は16年、すべての夫婦に第2子を持つことを認め、21年には3人目の子供を出産することも容認したが、時すでに遅し。一人っ子政策のツケは大きく、また、時代とともに価値観が多様化して、結婚しない人も増加。そして、気付いてみれば少子化に歯止めがかからない事態となっていた。これが人口減少に至った経緯だ。

働き手の減少により、中国が「世界の工場」という看板を下ろすのは、もはや時間の問題だ。そもそも貧富格差の問題が深刻化し、加えて高齢化の進展により年金の給付額も膨らんでいる。国民全体が十分に豊かになる前に高齢化が始まる「未富先老」が、現実のものになりつつある。


国家統計局は2022年の国内総生産(GDP、速報値)も発表しているが、実質で前年比3.0%増となり、政府目標の5.5%前後に届かなかった。新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」の影響も大きく、経済は打撃を受けた。


国民全体の生活レベルが一定程度に達した段階で、高齢化社会を迎えた日本とは異なり、経済が成熟する前に高齢化している中国が、立て直しを図るのは至難の業だろう。


中国政府は年金や医療保険など社会保障の充実を急いでいるが、経済の減速に伴う財政難の影響で、後手後手の対応にならざるを得ない。経済が衰退するのは避けられず、貧富格差も拡大し、それが固定化したまま推移しそうだ。

2027年にこだわる理由…

記者会見に臨んだ国家統計局の康義局長は、ゼロコロナからの脱却で中国経済は「全体的に好転するはずだ」と語ったが、同時に「国内経済の基盤はしっかりしていない」と危機感をあらわにした。

このままでは国民の不満が鬱積し、中国共産党は求心力の低下を免れないが、そんなときは国民の目を国外に向けさせ、批判をかわすのが常套手段。現状では、台湾に軍事侵攻する可能性が最も高い。


米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官は、現役時代の21年、米上院軍事委員会の公聴会で、中国が2027年までに台湾に武力侵攻する可能性を指摘。この発言は大きなニュースとなって世界を駆け巡った。デービッドソン氏は今年1月にも、自民党の会合で講演し、公聴会で語った認識に変更はないと強調している。


同じく今年1月には、台湾の呉釗燮外交部長が英スカイニュースのインタビューに応じ、「2027年に中国が台湾に対して武力を使用する可能性がある」と発言した。中国が「2027年」にこだわる理由はいくつかある。一つは、人民解放軍が創設100年の節目を迎えること。もう一つは、習氏の実績づくりだ。習氏が異例の3期目に突入したのは前述した通りだが、実は4期目も狙っているという。


新指導部の任期は5年、つまり2027年までとなり、4期目を狙うのなら、それなりの実績が必要となるのは言うまでもない。習氏は27年までに、台湾統一というレガシー(遺産)を創出するため、武力侵攻のタイミングをうかがうことになるだろう。


2月1日には中国の軍用機延べ34機と艦艇延べ9隻が、同日午前6時までの24時間に台湾海峡付近で活動。このうち戦闘機『殲16』や同『スホイ30』、対潜哨戒機『運8』など延べ20機が暗黙の「休戦ライン」とされる中間線を越えたり、南西の防空識別圏に侵入したりした。


中国は昨年の8月以降、中間線越えを常態化させており、いつ軍事的衝突を起こすのか、台湾当局はもちろん、日米などの外交筋は警戒を強めている。