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高齢での骨折には要注意~『痛みの悩み相談室』(監修/井尻慎一郎先生)

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子供の骨折が大人よりも早く治ることには、異論がないと思います。さらに、子供の骨折は多少曲がってひっついても、数年後には分からないくらいまっすぐになる自家矯正力という力が備わっています。そのため、子供の骨折で手術が必要になるのは、特殊な場合だけです。

子供なら若ければ若いほど骨折が早く治りますが、成長期をすぎると、骨折の治癒期間に年齢の差は少なくなってきます。腕の付け根の上腕骨頚部骨折を起こして来院した90歳のお婆さんでも、上手に治療すれば案外早く骨がついて動くようになって治ります。

高齢者はリハビリ期間も長くなりがち

しかし、やはり年齢とともに骨癒合は遅くなります。勤務医時代に多数の骨折手術を行ってきた経験では、若い人の骨はみずみずしく、弾力があり、骨を作る骨膜が分厚くて柔軟です。これに対し、高齢者の骨にはみずみずしさがなく、硬く、もろくて、骨膜も薄くてすぐに破れてしまいます。それを踏まえると、年齢とともに骨折の治癒期間も多少長くなっていくのも納得できます。

例えば、手首の骨折でギプス固定する時、骨折の種類や程度にもよりますが、一般的に若い人なら4~5週間のギプス固定、高齢者なら5~6週間のギプス固定をしています。さらに、高齢者は若い人よりも筋力や運動能力が劣るので、リハビリ期間も若い人に比べると長くなりがちです。

こうした点からも、高齢者は骨折に対して十分気をつける必要があるといえます。

監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp

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