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日本全国☆釣り行脚~『ムラソイ』~北海道函館市/入船漁港産

ハゼ狙いは玉砕するも、ムラソイを確保!
ハゼ狙いは玉砕するも、ムラソイを確保! (C)週刊実話Web

嗚呼、寒い。寒すぎます。

齢四十を超え、めっきり寒さに弱くなったオッサンの身には、この冬の寒さはことさらにこたえます。それにしても、いつもの年より寒くないですかね?

さて、斯様に寒さ厳しい時期でも楽しめる釣りはあるものでして、そのうちの一つが夜のハゼ釣りであります。

ハゼといえば、〝夏から秋にかけて日中に楽しむお手軽ターゲット〟というイメージで語られることが多いのですが、寒さが厳しくなるこの時期には、産卵を控えた良型が夜限定で釣れるようになります。誰もいない厳寒期の夜に、岸壁から孤独に良型ハゼと戯れるという時間が、何とも趣があってイイものなんです。

さらに言うと、ハゼは北に行くほど型がよい傾向があります。つまり、大型のハゼを狙うとなれば、「厳寒期×北国×夜間」という3つの要素を満たす必要があるわけです。冷静に考えると、これほど自虐的でドMな釣りもありませんな。

ということで、厳寒期の夜ハゼ釣りを苦しむべく、いや…楽しむべく、北海道は函館にやってまいりました。北海道の函館から松前にかけての津軽海峡に面したエリアは、尺(約30センチ)近いハゼの実績場が点在しております。

目をつけていた場所は台船と岸壁の隙間

まずは手近な釣り場からやってみようと、市街地からほど近い入船漁港で竿を出すことにしました。函館山の麓という立地でもあり、ロケーションは抜群です。

到着してみると、猛烈な吹雪のせいか釣り人の姿はありません。当たり前か。堤防の中ほどから港内に向けて仕掛けを投げ入れると、時折小さなアイナメが掛かるものの、いっこうにハゼは姿を現しません。ただ、本番は夜です。竿を出しながら、日が落ちるのを待つことにしましょう。といっても吹雪のせいで太陽は見えませんが…。

極寒の中釣れるのはアイナメ
極寒の中釣れるのはアイナメ (C)週刊実話Web

すっかり日が落ち、吹雪も少し収まってきました。しかし、期待とは裏腹に掛かるのは小さなアイナメばかり。こんなときに深追いは禁物。いったんハゼに見切りをつけ、岸壁際の探り釣りに切り替えることにします。ちょっと目をつけていた場所があるもので…。

テクテクと歩いて向かったのは港内の一番奥。ここにはひときわ明るい常夜灯が光っており、その下には台船が係留されています。狙いはこの台船と岸壁の隙間。わずかな隙間にそ~っと仕掛けを落とし、ゆっくりと歩きながら岸壁に沿って探っていきます。

台船と岸壁の隙間をひたすら探る
台船と岸壁の隙間をひたすら探る (C)週刊実話Web

連発するのは攻められていない証拠!

「コツンッ!」

探り始めてからほどなくして反応がありました。即座に糸を送り込むと、さらに「クンッ、ククンッ!」と持ち込みます。頃合いを見計らって軽く竿を煽ると、「グンッ!」と重量感が伝わり、ハリに掛かりました。鈍いながらも重々しい引きを感じつつ抜き上げたのは、当地で〝ハチガラ〟と呼ばれるムラソイでした。やはり根魚はいましたな。

体長20cmほどのムラソイ
体長20cmほどのムラソイ (C)週刊実話Web

その後も丹念に探って数尾を追釣。いずれも20センチほどとさほど大きくはありませんが、目を付けた場所で予想どおりにアタリが出るのは気持ちのよいものです。根魚は食欲旺盛な魚ですから、いればすぐに釣れます。このようにサッと釣れて、しかも連発するのは、あまり攻められていない証拠なんですね。この連載で何度も言っておりますが、こういった人気薄の奥まった場所のほうが、魚が残っていることは珍しくないのです。

結局、大型ハゼ狙いは玉砕に終わったものの、晩酌の肴としてムラソイを確保できました。コイツをアテにして楽しみましょう。

と、その前に、釣り場のすぐ裏手にある『大正湯』で、冷えきった身体をしっかりと温めます。厳寒の漁港という地獄から一気に天国へ! いや~極楽です。

根魚系の煮付けは鉄板の旨さ!

さて、「ソイ」と名の付く魚は何種類もありますが、「クロソイ」のように市場での流通量が多い種と比較して「ムラソイ」はややマイナーな存在です。しかし、変化に富んだ模様や丸っこい体型は何となく可愛らしく、釣り人からはかなり親しみを持たれている人気魚でもあります。

そんなムラソイを定番の煮付けでいただきます。厳つい容姿とは裏腹に、純白の身が何とも食欲をそそります。身離れのよい身を煮汁に浸しながらひと口。上品で美味しいですな~。まあ根魚系の煮付けは鉄板です。

ムラソイの煮付け
ムラソイの煮付け (C)週刊実話Web

旨い煮付けを楽しみながら、北海道のワンカップ『千歳鶴 臥牛山』をグビリ。ワンカップと言うと安酒の代名詞のように扱われますが、スッキリとした飲み口でなかなかに旨い! 煮魚との相性も抜群です。

旨い肴に旨い酒でたちまち昇天。本命は釣れずとも大満足な1日となりました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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