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出稼ぎに行く日本人が急増!“年収1000万”の寿司職人も〜企業経済深層レポート

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企業経済深層レポート (C)週刊実話Web

近年、海外に「出稼ぎ」に出る日本人が急増している。その背景を人材派遣業者がこう明かす。

「岸田首相や経団連、連合も『賃金アップ』と笛吹けど、ユニクロが初任給30万円を打ち出したのが関の山で、大半の企業は〝沈黙の艦隊〟状態。しかもロシアのウクライナ侵攻と円安で、昨秋には食品店頭物価指数が対前年比平均4.5%上昇と31年ぶりの高騰を見せ、庶民の暮らしは疲弊する一方です。おかげで、一昨年あたりから海外で働く日本人が急増。『給与が倍増した』との話が海を越えて飛び込んできているのです」


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OECD(経済協力開発機構)が2020年に行った統計によれば、日本人の年間平均年収は約425万円でG7中最下位だ。同機構加盟の38カ国中22位とトップのアメリカの765万円には遠く及ばず、19位の韓国より下という有り様。欧米を中心に東京より給与の高い都市がゴロゴロあるだけに、もはや国内よりも海外でガッツリ稼ごうという若者が増えているのだ。

ファイナンシャルプランナーが指摘する。

「日本のGDP(国内総生産)は今も世界3位だが、国民一人当たりの平均年収となるとガクンと落ちる。アメリカなどはこの20年間で30〜40%近く年収が増えているが、日本はほぼ横ばい。少し前に老後資金には2000万円が必要と話題になったが、『そんな国にいても貧乏から抜け出せない』と日本を飛び出す者が増え続けているのです」

「10年海外で稼いで帰国したい」

気になるのはそうした人たちがどんな仕事に就いているかだが、前出の人材派遣業者によれば、日本人が稼げる職種の筆頭は和食などの料理人。特に寿司職人は大モテだという。

「ある寿司職人は、国内で年収300万円程度だったものが、アメリカに渡り8000万円になったと昨年某テレビ番組で紹介された。この方は富裕層を相手にした店に勤めて成功したが、国内の2〜3店舗の寿司店で手ほどきを受けた後に渡米すれば、月収80万円、年収1000万円程度を稼ぐのも夢ではありません」(同)

また、欧米諸国のレストランで接客係として働くのもポピュラーだという。飲食業界の関係者が言う。

「ニューヨークでウエーターをしている知人男性は、バイトながらチップも含めて月に約50万円稼いでいる。アメリカは家賃や食費が高いが賄い付きの寮で節約し、日本にいたときよりも貯金できているそう。10年で数千万円を貯金し、帰国したいと頑張っているのです」

ちなみに、ニューヨークのウエーターの平均時給は2000円〜3000円前後と東京のおよそ1.5倍〜3倍。しかもこれにチップが加わるため、収入がより高額化するのである。

寿司職人やウエーターに次いで海外で需要の多い職業には、美容師やネイリストがあるという。実態を美容関係者が解説する。

「アメリカやカナダの中都市には美容師やネイリストが足りていないところがあり、そこで働く日本人も多い。というのも、日本の美容師やネイリストは仕事が丁寧で人気だからです。日本と違って残業はなくチップももらえることから、年収は実に渡航前の約2倍、500万円以上稼いでいる者が少なくないのです」

言葉の障害も留学で解決

また、転職業者がこう続ける。

「美容師と同様に、最近は鍼灸師やマッサージ師も引く手あまた。世界的にも日本固有の文化に根差した職業や日本人らしい仕事の丁寧さ、おもてなし精神が注目されている。そのため、海外の居酒屋やラーメン店の店員、日系ホテルのスタッフ、看護師、エンジニアなどで活躍する者も増えている。大半が日本で働く1.5倍からそれ以上の収入を得ているのです」

ただし、海外で働く場合に大きな障害となるのは言葉の壁だ。近年はこれを克服するために、まず格安で英語が学べるフィリピンに留学。その後アメリカやオーストラリアへ働きに行く者も増えているが、今ではカタコトでも働ける職種もあるという。

「知人はハワイで日本人旅行者向けのガイドをしているが、年収600万円程度稼いでいる。また、日本語教師や海外に住む日本人向けのコールセンターの職員なども英語が堪能でなくても務まるため、近頃はこれらを斡旋する業者もいるようです」(転職業者)

また、近年は〝夜の世界〟にも出稼ぎが増えているという。語るのは夕刊紙の記者だ。

「タイや香港、シンガポール、北米などに観光ビザで長期滞在し、現地の日本人専用キャバクラで働く女性も増えている。国によって給料はマチマチだが、シンガポールなら月収60万円は下らないという。また、欧米を中心にマッサージ店で売春する出稼ぎ風俗嬢も増えている。日本人は接客も丁寧で肌もきめ細やかなため、コンスタントに1日4〜5万円稼げるそうです」

ちなみに、我が国には協定を結んだ国に限り、若者に滞在ビザを優遇する「ワーキングホリデー制度」があるが、同制度の申請はオーストラリアだけを取っても2021年7月から翌22年6月までに前年同期比の2.4倍(4600人)に達している。これを見る限り、日本人の海外就労はさらに加速しそうな雲行きだ。

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